メクル第327号 必見!子どもの防犯対策

 「不審(ふしん)者に追い掛(か)けられた」-。通学路などでこわい思いをしたことはありませんか? 県内では、声掛け、つきまといなど「声掛け事案等」の認知件数(にんちけんすう)が年々増加傾向(ぞうかけいこう)にあります。長崎県警(けんけい)によると、2017年は402件で、16年より42件もふえました。中でも一番件数の多い声掛け。今年は10月時点で183件に上り、すでに昨年1年間の総数に達しています。
 毎日の登下校などで、被害(ひがい)にあわないためにはどうしたらいいのでしょう。自分たちでもできる防犯対策(ぼうはんたいさく)について、県内各地で防犯セミナーなどに取り組む田中健一(たなかけんいち)さん(48)にポイントを教えてもらいました。

◎教えてくれた人/県防犯(ぼうはん)アドバイザー 田中健一(たなか・けんいち)さん(48)
 警備(けいび)会社「司(つかさ)コーポレーション」(長崎市)勤務(きんむ)。ボディーガードや護身術(ごしんじゅつ)の訓練を重ね、イスラエル発祥(はっしょう)の護身術「クラヴマガ」の国内資格(しかく)を取得。県内唯一(ゆいいつ)のインストラクターとして、親子向けなどに防犯セミナーや護身術セミナーを開いている。

■あいさつが大切

 通学路には、子どもたちを見守ってくれる住民がたくさんいます。まずは、子どもたちから積極的に地域(ちいき)の大人たちに大きな声であいさつをしてみましょう。一般(いっぱん)の人ならあいさつを返してくれるか、そのまま立ち去ります。相手が不審(ふしん)者なら、びっくりして犯行(はんこう)する気をそがれ、ねらわれにくくなります。
 あいさつをするタイミングも重要。相手よりも先に、子どもたちからあいさつをすることで主導権(しゅどうけん)をにぎることができます。
 あいさつを交わすと地域の人は見守ってくれるようになり、味方になってくれます。つながりも深まり、一石二鳥です。

 知らない人から声を掛(か)けられたとき、自分の名前をよばれると安心してしまいます。名前を悪用されないようにするためには、持ち物に記入している名前を見えにくい場所に書くことが大切です。靴(くつ)や傘(かさ)、給食袋(ぶくろ)や体操(たいそう)着入れをまとめる“月・金バッグ”…。他人から見えやすい場所に名前を書いていませんか?

 登校する準備(じゅんび)をした後、保護(ほご)者が一度360度見回してみましょう。名前が見えなければOK!

<ケースA>
 1988~89年、東京や埼玉(さいたま)で幼女(ようじょ)連続誘拐(ゆうかい)殺人事件(じけん)を起こした宮崎勤(みやざきつとむ)元死刑囚(しけいしゅう)は、犯行しようと下見していたときに地域の人にあいさつをされ、その場所での犯行をあきらめたという。

<ケースB>
 2014年、埼玉県朝霞(あさか)市の当時中学1年の女子生徒が誘拐(ゆうかい)され、監禁(かんきん)された事件では、女子生徒の自宅(じたく)の外の置き傘から名前を知られ、声掛けに利用された。

登下校時に名前は見えていないかな?チェック

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