「碧」対州馬の飼育始まる 長崎・あぐりの丘

 絶滅が危惧されている対馬固有種「対州馬(たいしゅうば)」を島外の人たちにも広く知ってもらおうと、長崎県長崎市四杖町のあぐりの丘の乗馬場で飼育、展示が始まった。1日、現地で歓迎式があり、つぶらな瞳のかわいらしい姿がお披露目された。今後、環境に慣れ次第、乗馬も始める予定。

 NPO法人長崎流鏑馬(やぶさめ)保存会(長崎市、本田殖也代表)と、乗馬場を管理する社会福祉法人南高愛隣会(諫早市、田島光浩理事長)の働きかけで、対馬市が両者に対し3歳のオス「碧(あおい)」を永年貸与した。同乗馬場での触れ合い活動のほか、将来的には長崎くんちの流鏑馬神事で活躍することも期待されている。

 対州馬は約135センチ以下と小柄でおとなしくて従順な性格。頑丈なため、昔は運搬作業時に重宝された。明治ごろに対馬で4千頭を超えていたが、機械化などが進み激減。現在は国内に約50頭にとどまっている。

 碧は11月28日に到着したばかりで、歓迎式では少し興奮した様子。対馬市で碧を育てた調教師の篠原由美恵さん(41)は「人懐っこくて甘えん坊。多くの人にかわいがられながら『対州馬』の存在を伝えていってほしい」と親心をのぞかせた。

対州馬の「碧」と触れ合う子どもら=長崎市、あぐりの丘

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