絶望から生まれた励ましの歌 横浜の障害者施設で文化祭

絶望から生まれた励ましの歌 横浜の障害者施設で文化祭

 障害者支援施設「リエゾン笠間」(横浜市栄区)の利用者が日ごろの音楽活動や創作活動の成果を披露する文化祭が3日、栄公会堂(同区)で開かれる。ステージの部で最後に歌うのは、事故で両足を失い、生きる希望を失った過去を持つ板垣昭論さん(34)。苦しい境遇にある人を励ましたいという思いを歌声に込める。

 板垣さんが「絶望を味わった」と振り返るのは22歳のとき。転落事故で両足を失い、手の一部も不自由になった。

 再びの転機は9年前から暮らすリエゾン笠間で開かれる音楽教室に参加するようになってから。教室には、交通事故で手足の自由を失った人や進行性の病気で体を動かしづらい人たちの姿があった。思うように声が出せない人たちも、楽しそうに歌っていた。板垣さんも周囲に励まされて声を出すと「気持ちが明るくなり、大勢で歌う楽しさに気付いた」。

 月2回の練習が楽しみになり、今は声の出ない人や声の小さな人が歌いやすいよう一緒に歌うサポート役を務める。

 文化祭のステージでは、いきものがかりの「ありがとう」を歌う。板垣さんは「周囲の人に感謝の気持ちを伝え、自分の歌で誰かを励ますことができたらうれしい」と話している。

 ステージは午後1時〜3時半。申し込み不要で入場無料。午前10時から作品展も行われる。問い合わせは、リエゾン笠間電話045(898)3533。

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