水源環境保全策を報告 厚木でフォーラム

 県の水源環境保全税を活用した取り組みについて県民に報告し話し合う水源環境保全・再生かながわ県民フォーラムが1日、厚木市中町のアミューあつぎで開かれた。同かながわ県民会議(座長・鈴木雅一東大名誉教授)の主催で、会員や一般市民ら約100人が参加した。

 羽鹿直樹・県水源環境保全課長が、2007年から26年までの20年間で行う取り組みのうち、今年が12年目に当たり、第3期5カ年計画として11の事業を進めていることを報告。

 県自然環境保全センターの内山佳美主任研究員は、森林を再生することで河川の水を良くする、という狙いを説明。事業実施前には地面を覆う草がなく、雨が地中に染み込まず地表を流れて川の水も濁っていたこと、その原因が人工林の間伐不足とシカの影響だったことを説明。事業実施後には地面に草が生え、雨が降ったときに地面に染み込むようになってきたことを報告した。

 県環境科学センターの長谷部勇太主任研究員は、相模湖などに窒素、リンなどの栄養塩が流入することで以前はアオコが発生していたが、公共下水道や合併処理浄化槽の普及、湖に設置したエアレーションなどによって近年は発生していないと説明。ただ「窒素やリンの濃度は、環境基準に比べてまだ高い状態が続いている」とも指摘した。

 取り組みについて、大沼あゆみ慶大教授は「水源環境保全の取り組みは、費用に対して大きな効果を出している。さらに詳細な評価を行えば、市民に対して効果をさらに分かりやすく説明できるだろう」と分析していた。

これまでの水源環境保全の取り組みが説明された県民フォーラム=厚木市中町のアミューあつぎ

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