わなの獲物、メールで通知 鳥獣被害対策、NTTグループ開発

 イノシシやシカによる農作物被害が増える中、捕獲用のおりに動物が入るとメールで知らせる装置の利用をNTTのグループ企業が広げようとしている。神奈川県内では秦野、伊勢原市内の農家などで利用されているという。これまで携帯電話の電波が届くエリアに限られていたのを、無線と組み合わせて携帯のつながらない山中でも使える新製品を、来春をめどに売り出す。

 「鳥獣わな監視装置 みまわり楽太郎」と名付けられた、NTTPCコミュニケーションズ(東京都)の装置。箱わなは、金属製のおりに餌を仕掛け、動物が入ると扉が落ちて閉まる。そばの立ち木などに装置を設置して扉とひもで結んでおく。扉が落ちるとひもが引かれて装置が作動し、わな設置者などの携帯電話にメールが届く仕組みだ。

 利用料金は、わなの様子を撮影した写真が一緒に届くタイプが2年間で24万円、写真なしが同13万2千円。2年経過後は更新料2万円で1年間継続利用できる。

 箱わなに限らず、わなを仕掛けた際は、動物がわなにかかったかどうかを毎日見回る必要がある。だが、自宅から離れたわなを毎日見回るのは体力的にも負担になるため、動物がわなにかかったことを知らせる装置が開発された。同社だけでなく、複数のメーカーが製品化しているという。

 同社ではさらに、携帯電話の電波が届く場所に親機を設置し、離れた山中のわなに子機を設置して親機と電波で結ぶことで、携帯電話が通じないところでも利用できる新製品を開発、来春から販売する。

 秦野市の農業、山岸勉さん(63)は、5年ほど前から、自宅から400メートルほど離れた山林のそばに箱わなを据えて同装置を使用。「ここはイノシシにタケノコなどを掘られてしまう。2年ほど前には、たて続けに5、6頭かかったこともある。この装置で毎日見回らなくて済むようになった」と話し、監視装置の便利さを実感している様子だった。

左の箱わなに動物が入るとメールで知らせる「みまわり楽太郎」(手元の箱)をチェックする山岸勉さん=秦野市寺山

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