4Kで映し出す、“シズル感”あふれる食の映像「おいしさは見えている」

BS朝日では12月1日の“新4K8K衛星放送”開始を皮切りに、12月3日に「土井善晴の美食探訪」(月曜午後7:00)を4Kチャンネルでも放送することになり、それを記念して「土井善晴先生と4K映像を鑑賞する会」が開催された。

「美食探訪」は、「この街に来たなら、この店がお薦め!」という口コミをもとに、料理研究家・土井善晴氏が“和・洋・中”の「街の名店」を巡る番組。放送当初から4Kで撮影されており、番組プロデューサーは「光の当て方を間違えると色が変わってしまうといった技術面での難しさがある。編集にも通常の何倍もの時間がかかる」と制作の苦労を告白した。

実際に4K映像を見て、土井氏は「自分でも見えないものが映ってるなと思いますよね。チーズの溶け具合とかね。だから食材の動きとかね、そういうものは肉眼よりリアルに伝えてくれるんじゃないかと思いますね」と、より料理を美しく映しだす4Kの実力を絶賛していた。撮影時、4Kと2Kで違いはあるのか尋ねると「全然違いますよ。4Kは時間かかるんですよ。手間が掛かるし、光の具合とかね、いっぱい条件を整えたりとか。だからスタッフの皆さんも普段とか全然違う心構えがあるんだと思います。でも、だんだん4Kを扱う方も慣れてきて、非常にスムーズに撮影が進んでおりますよ」と撮影の大変さを話す一方で、徐々に4Kでの撮影に慣れてきていることを明かした。

1回目の放送では、人気の街・吉祥寺を訪れる。ロケについて土井氏は「楽しかったですね。地元の人が繰り返し行くようなお店やから、私にとっては非常に安心感のあるお店が多いですね。本当においしいものっていうのは、ずーっと食べてても飽きない。そこに居てはる人の暮らしの中にあるもんやから、そういうリアリティーを大切にしたいと思ってるんですわ。外観だけやったら番組でお邪魔させてもらった『トニーズピザ』は、ちょっと1人では入りづらいようなお店やけども、地元の人がおいしいって言ってるのって、行ってみて初めて分かるところありますからね。料理っていうのは、おいしい・まずいでは判断できないような、多様なおいしさや楽しみ方がまだまだあるんだということをね、一番伝えたいですね」と番組への意気込みを語った。

最近“インスタ映え”など、見た目を重視する風潮が強いことについては、「“インスタ映え”というのは、奇麗な体裁を整えるという、視覚的な刺激ばっかりやけども、『美食探訪』でいうところのおいしいっていうのは、飾り付けたものじゃなくって、本当のご自身の見えないものが見えるというふうに理解して、その触覚的視覚を楽しんでほしい」という。

最後に、土井氏は「今、情報というものに受け身になりがちやけども、4Kという今までに見えないものが見える、そして『美食探訪』の場合、その見えないようなものが番組の真ん中じゃなくて、隅っこに映ってたりしますので、自分自身で新しいものを見つけてほしいなと。自分自身で発見する喜びみたいなものが、4Kをきっかけにまた思い出してもらって、人間の衰えがちな感性をもう1回呼び戻してくれたらいいなと思いますよね。“おいしさは見えている”んですよ。自分の目を肥やすという意味でも、4Kになった『美食探訪』をぜひご覧いただけたらと思います」と4K放送への期待と、番組の見どころを語った。さらに「結構すごい人がこの番組を見てくれてますよ。なんと、井上陽水さんがファンらしいですよ!」と、井上との意外な交流を明かした。

今回、2Kと4Kを同時に見比べてみて、4Kの色がとても鮮明であることに驚く。湯気といった食べ物の動きがよりはっきり見えたり、グラタンのホワイトソースとチーズという、2Kでは分かりづらい同系色の色合いの違いも、鮮やかに表現されていた。また、今回の放送では、土井氏が実はフレンチから料理の勉強を始めたいうルーツが明らかになる。土井氏らしい言葉選びとテンポで繰り広げられる、全く新しい食リポも楽しみにしたい。

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