相模原・美容師殺害、懲役18年求刑 被告は無罪主張

 相模原市南区のアパートの一室で2016年6月、この部屋に住む美容師の女性=当時(23)=が殺害された事件で、殺人の罪に問われた元交際相手で無職の男(40)=住所不定=の裁判員裁判の論告求刑公判が3日、横浜地裁(片山隆夫裁判長)で開かれた。検察側は懲役18年を求刑、弁護側は無罪を主張し結審した。判決は20日に言い渡される。

 

 検察側は論告で、被告のDNA型が検出された遺体の付着物について、「死亡直前か直後に付いたとみるのが合理的」と指摘。被告が女性と執拗に連絡を取っていたことや、死亡推定時刻とされる時間帯に被告が女性宅前にいたことも踏まえて、「交際を嫌がる女性に執着し、強い怒りがあった」として、殺害の動機があったと主張した。

 

 弁護側は、DNA型の採取方法や鑑定結果などを疑問視した上で、「被告はこれまで女性宅に2回行ったことがあり、試料採取の際にそれらの細胞が付着した」などと反論。事件への関与を否定し、第三者による犯行として無罪を主張した。被告も最終意見陳述で「私はあやめていない。無実です」と訴えた。

 

 論告に先立って意見陳述した女性の母親は「夢に出てくる娘は『迎えに来て』と訴え続けている。でも、どこにいけばいいのか分からない。娘を生きた形で返してほしい」と声を震わせながら、厳罰を求めた。

 

 起訴状によると、被告は16年6月7日深夜から翌8日未明までの間、同区のアパートで、女性の首をひも状のもので締め付けて殺害した、とされる。

© 株式会社神奈川新聞社