潜伏キリシタン信仰用具 文化財指定へ実態調査 長崎県、来年度から

 長崎県は、世界文化遺産になった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に関係する信仰用具の保存に向け、実態調査を来年度始める。信仰用具は県内に数百点はあるとみられ、潜伏時代の貴重な資料を把握して国の文化財指定を目指す。
 信仰用具は、聖母マリアに見立てた観音像「マリア観音」や聖画、十字架など潜伏キリシタンが祈りをささげるときに使った道具。博物館や教会、一般信徒の自宅などに保管されていると考えられるが、実際にどのくらいあるか把握できていない。
 信仰用具を巡って県は、今夏の世界文化遺産登録を前に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)から保存するよう助言されていた。
 調査では写真撮影し図面化する。地域によって信仰の仕方が異なるため、専門家も一緒に信仰用具の使い方や由来などを所有者らに聞き取りしていく。国の調査事業として補助金を申請する予定で、来年4月から約3年実施する計画。県世界遺産課は「価値を明らかにして文化財にすることで、保存していきたい」としている。

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