明興双葉と由紀精密、金属系超電導線開発へ 19年に高性能品試作

 電線導体やワイヤハーネスなどの事業を展開する明興双葉(本社・東京都中央区、社長・是松孝典氏)と金属加工メーカーの由紀精密(本社・神奈川県茅ケ崎市、社長・大坪正人氏)は共同で高性能な金属系超電導線の開発を目指している。ニオブ三錫やニオブ三アルミなど強磁場発生に適し比較的超電導転移温度が高い金属間化合物で、2019年に試作品を製作。20年以降に事業化する。明興双葉は山梨県中央市の田富工場に超電導の研究を行うラボを開設する予定。

 金属間化合物の超電導線は特性に優れるが加工がしにくい。明興双葉は電線用導体で培った加工技術を生かし、外部の研究機関から調達した母材を直径50ミクロンの線材に加工。由紀精密は母材の生産性向上や高精度な線材加工に適した設備の製作を担当する。

 研究機関が供給する母材は特殊な製法で製造されたもので、非常に安定的に特性を発揮できることが特長となっている。両社では細く加工することで柔軟性を高めて、使い勝手が良い製品として市場に投入したい考えだ。

 将来的には金属系超電導体の中で超電導転移温度が非常に高い二ホウ化マグネシウムの超電導線の開発も視野に入れている。田富工場内に設けるラボは広さが約50平方メートルで撚線や伸線用の設備を導入する予定。

 大規模な実験装置の加速器や医療機器のMRIなどで高性能超電導線の需要を期待しており「将来的には数百億円規模の売上を期待している」(由紀精密・大坪社長)。明興双葉では銅製の電線導体に注力しつつ、高付加価値製品の比率を高める戦略を展開しており超電導線材はその取り組みの一環となる。

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