金属加工の由紀精密、人工衛星用エンジンを3年内の開発目指す

 金属加工メーカーの由紀精密(本社・神奈川県茅ケ崎市、社長・大坪正人氏)は人工衛星用の小型ロケットエンジンの開発を目指している。開発はバルブメーカーの高砂電気工業と共同で、事業化は3年内が目標。シンプルな設計でコスト低減を図るほか、低毒性の燃料で扱いやすい製品とする。宇宙関連のベンチャー企業などへの供給を視野に入れている。

 両社が開発しているのはスラスターと呼ばれる人工衛星の推進装置。姿勢や軌道の制御などに使われる。今後宇宙関連のベンチャー企業が小型人工衛星の製作を積極化する見通し。大坪社長は「コスト・安全の両面で使いやすいスラスターを開発して供給することで市場ニーズに応えたい」と話す。現在は試作機を設計している段階。

 由紀精密は技術力を生かせる宇宙関連の製品群を重点分野に位置付けており、今回のスラスター開発の取り組みはその強化策の一環。開発には国の支援を受けており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める2018年度の宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業に採択されている。

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