岩下志麻さんが役者半生振り返る

岩下志麻さんが役者半生振り返る

 神奈川政経懇話会の設立50周年を記念した特別講演会が30日、横浜市中区の横浜情報文化センターで開催された。神奈川にゆかりのある女優の岩下志麻さんが講師を務め、役者としての半生を振り返った。

 松竹大船撮影所に在籍した当時、小津安二郎監督との出会いが「女優の原点となった」という。顔の表情や所作などで細かな演技を求められ、取り直しが100回に上ったこともあるが、「『人間の喜怒哀楽は単純ではない。悲しい時に悲しい顔はしない』と言われた。出来上がった作品を見て、なるほどなと感服した」と振り返った。

 人気シリーズ「極道の妻たち」のエピソードも紹介。撮影現場で子分役の演者から「あねさん、おはようございます」と出迎えられ、「自分が強くなった気分だった」。私生活で電話に出て、思わず「わてや」と、応対したという赤面話も。「新幹線で本物さんにあいさつをされたこともあった」という。

 幼少期は、藤沢市・鵠沼海岸で過ごし、「神奈川は懐かしい」と感慨深そうに話し、「今日は亡くなった母の誕生日。そんな日に楽しく過ごせた。今後も頑張ります」と締めくくった。

 同会は1966年4月に設立し、会員は現在、県内企業や企業経営者など219。政財界やスポーツ界の著名人らを講師に招き、講演会活動などに取り組んでいる。

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