組織の廃止含め検討 国際言語文化アカデミアで県

 英語などを教える教員の研修や、外国籍県民の支援事業などを行う「県立国際言語文化アカデミア」(横浜市栄区)について、黒岩祐治知事は5日、組織の廃止や事業の移管も含めた検討を進めることを明らかにした。2018年度中に方向性を決める。

 アカデミアは閉校した県立外語短大を再編し、多文化共生社会の実現に向けた講座などを開く教育・研修機関として11年に開所。県内の公立学校で外国語を教える教員への高度な研修、外国籍県民向けの日本語講座などの支援事業、外国人のサポートができる人材を育てる異文化理解事業を展開している。

 17年度に行われた機関評価委員会の提言では、実施事業は重要度が高く、充実させる必要性があると評価された。だが、組織・運営については「幅広い視野から見直すべき」とされた。

 現在の体制のまま事業を続けると、毎年度2億円以上の支出超過が見込まれるという。さらに、近く定年を迎える教員も多く、中長期的な人材育成や事業運営に課題を抱えている。

 知事は、教員の研修事業については「語学教育に関する質の維持向上の役割を果たしてきた。引き続き、県で役割を担うことが適切」と答弁。今後、県教育委員会と調整を行う。

 一方、組織・運営については「より効果的、効率的に事業を実施できるよう、組織の廃止や事業の移管も含めて検討を進める」と述べた。また、外国籍県民支援と異文化理解支援事業は、同様の事業を行っている民間団体への移管も「選択肢の一つ」とした。

 同日の県議会本会議で、新井絹世氏(自民党)の代表質問に答えた。

黒岩祐治知事(資料写真)

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