バレエ天才「プーチン氏攻撃」に反発、肖像画タトゥー胸に入れる

By 太田清

来日記者会見で写真撮影に応じるセルゲイ・ポルーニン氏=東京都渋谷区(2017年7月)

 ウクライナ生まれの世界的なバレエダンサー、セルゲイ・ポルーニン氏(29)は6日までに、自分の胸にロシアのプーチン大統領の肖像画のタトゥー(入れ墨)を入れたことを明らかにし、インスタグラムで写真を公開した。ロシア通信などが伝えた。 

 同氏はタトゥーを入れた理由について「ロシアに向けて、最も激しいメディアの攻撃が行われている時に、タトゥーを入れた。こうしたニュースを見たり聞いたりするのは私には不快だった。一人の人(プーチン氏)に対しあまりに多くの攻撃が行われており、このネガティブなエネルギーの一部を自分の方に向けようと決めた」と語った。 

 ポルーニン氏はウクライナ南部のへルソン生まれ。ウクライナ国籍だったが最近、ロシアの国籍も取得。「ロシア国民となり、ウクライナやグルジアなどで革命を行っている邪悪で良心のない人々に対抗することができて本当に幸せだ」とした上で、プーチン大統領への全面的な支持を表明していた。 

 ポルーニン氏は史上最年少の19歳で英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルになったが、わずか2年で退団。天才とうたわれながら、薬物使用を告白したり、全身にタトゥーを入れたりするなど、その奇妙な行動も評判になった。昨年には同氏を描いたドキュメンタリー映画が公開されたほか、俳優業にも進出した。 

 ロシアの独立系調査機関「レバダ・センター」が10月に行った世論調査によると、国が直面している問題に対しプーチン大統領に「全面的に」責任があると答えた人は回答者の61%に上り、調査開始以来最高となるなど、経済不振や年金改革などで国内のプーチン氏への支持は急落している。 (共同通信=太田清)

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