「村岡新駅」整備負担年内合意へ 神奈川県、藤沢、鎌倉市

 JR東海道線の大船-藤沢間で検討が進む「村岡新駅」構想を巡り、焦点だった新駅整備費用の神奈川県と藤沢、鎌倉両市の負担割合について、年内にも合意する方向で最終調整していることが6日、分かった。複数の関係者によると、県が3割、残りの7割を藤沢、鎌倉両市で折半する見通し。3者合意を踏まえ、鉄道事業者が自治体と連携して具体化を図る「戦略的新駅」の適用を視野にJR東日本に要望する方針だ。

 新駅の整備は約160億円と試算されている。県と2市はJRの負担分を除く費用を巡る協議・検討を重ねており、両市それぞれの費用対効果などを踏まえた着地点を探っていた。合意後は新たな組織を設置してJR東日本に新駅設置を正式に要望するとともに、概略設計の実施と整備費負担を求めていくという。

 藤沢市は同日の市議会建設経済常任委員会で、2019年度に新駅概略設計に着手し、20年度中に事業実施の最終判断を行うとするスケジュールを報告。宮治正志副市長は「JR東日本が戦略的新駅に位置付けて一定の負担をするためにも3者が合意する必要があり、前提のどれが崩れても前には進めない」と述べた。一方、事業費増大や市の財政悪化といった環境変化があった場合は「ゼロベースで見直す必要もある」と慎重な見方も示した。

 両市が17年度に実施した調査によると、通勤時間短縮などの間接効果は年間64億円。地価上昇による固定資産税増や人口増に伴う市民税の伸びなどの直接効果は年間29億円で、藤沢は同13億円、鎌倉は同16億円の増収となる見通し。両市は新駅周辺のまちづくりについても村岡地区(藤沢)と深沢地区(鎌倉)を一体的に整備し、両市がそれぞれ応分の費用を負担する方向で一致している。

村岡新駅構想地の地図

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