原爆資料館 指定管理者制度導入 「展望 見えない」 批判相次ぎ採決持ち越す 長崎市議会教育厚生委

 定例長崎市議会は6日、総務、教育厚生、環境経済、建設水道の4常任委員会が始まった。教育厚生委では、長崎原爆資料館(平野町)の維持管理業務に指定管理者制度を導入する条例案を巡り、委員から「効率化の効果が乏しい」「展望が見えない」と批判が相次ぎ、同日予定されていた採決は7日に持ち越された。
 市は現在、業務委託している同館の受け付けや保守点検、駐車場、図書館などに関する27業務のほか、隣接する市平和会館、市歴史民俗資料館の維持管理も含め一括して指定管理者を公募する方針。指定期間は2019年9月から5年間。
 市側は20年の被爆75年に向け業務を効率化し、調査・研究や平和発信事業に注力する考えを示した。これに対し委員の一人は、今後注力する具体的内容が示されていないと批判。同館は市の平和発信拠点として「特別な所だ」と強調し、慎重な対応が必要と指摘した。
 別の委員は、市が見込む経費削減効果は年間約400万円にとどまるとする一方、著名な旅行口コミサイトによる国内美術館・博物館の直近の人気ランキングで、同館が博物館の1位だったことを挙げ「今の態勢でもっと頑張れる予算を付けた方がいい」と語った。
 広島市の原爆資料館は既に指定管理者制度を導入しているとの市側の説明を受け、委員側はその現状に加え、長崎市が今後注力する内容について資料提出を求めた。しかし市側が資料作成に時間を要したため、7日に改めて審議することにした。

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