【病院中毒死】3人への殺人罪で元看護師起訴 捜査終結

 横浜市神奈川区の旧大口病院(現・横浜はじめ病院)で2016年9月に起きた点滴殺人事件で、横浜地検は7日、入院患者4人に対する殺人容疑などで送検された元看護師の女(31)について、患者3人への殺人罪と、未使用の点滴袋に消毒液を混入したとする5件の殺人予備罪で起訴した。

 患者1人への殺人容疑と1件の殺人予備容疑については、不起訴処分とした。被告の認否や不起訴の理由は明らかにしていない。

 起訴状などによると、被告は16年9月、消毒液「ヂアミトール」を混入した点滴袋を別の看護師に使用させ、入院患者の当時78歳の女性と88歳の男性に投与して殺害、投与中の点滴チューブに直接消毒液を混入して当時88歳の男性を殺害したほか、別の複数の患者を殺害する目的で投与予定の点滴5袋に消毒液を混入した、とされる。

 被告は今月3日まで、事件当時の精神状態を調べるため鑑定留置されていた。地検は精神鑑定の結果、刑事責任能力を問えると判断した。

 捜査関係者によると、被告はこれまでの調べに、患者を自身の勤務時間外に死亡させることで、遺族への説明役になるのを避けたかった、との趣旨の供述をしている。10人以上への消毒液の混入を示唆していたが、同時期に死亡した患者の多くは事件発覚時点で火葬されており、地検は現時点での立件は困難と判断して事実上捜査を終結した。

横浜市神奈川区の旧大口病院(現横浜はじめ病院)

© 株式会社神奈川新聞社