日本ハムと契約した王柏融 台湾の人気球団ラミゴとは?【チーム・スタジアム編】

2015年の「プレミア12」でも使用された桃園国際棒球場【写真:Getty Images】

日本ハムは今年2月にラミゴ・モンキーズと2連戦を行っていた

 日本ハムは7日にポスティングシステムを利用して海外球団への移籍を目指していた台湾プロ野球、ラミゴ・モンキーズの王柏融外野手と契約合意に達したことを発表した。今年2月27、28日に「アジアフレンドシップシリーズ in 北海道」にて、ラミゴ・モンキーズ2連戦を札幌ドームで開催していた。その当時から“台湾の大王”こと王柏融には注目していただろう。

 ロッテとも2014年から毎年行う「キャンプ派遣」では、マリーンズの選手と共に練習を行っていた。さらに、台湾で行われた「桃園最強Power Series 2018 日台バトルカップ」では、噂の渦中であった、王柏融も出場していた。

 2013年WBC第2ラウンドで、日本をあと一歩のところまで追い詰めた場面が印象深いが、王柏融は出場していない。背景として、台湾野球は、現在CTBA(棒球協会)とCPBL(棒球連盟)の間に軋轢が生じているが、詳しい内容はまたの機会としたい。

ここからは、王柏融が台湾でプレーしたLamigo Monkeysについて迫っていく。Lamigo Monkeysは2003年「第一金剛」の名でチームは産声をあげた。2004年~2010年の「La new熊」時代を経て、2011年から現在までチーム名である「Lamigo Monkeys」となった。親会社は靴製造業「La New」である。

 巨人に在籍する陽岱鋼の実兄であり、元ソフトバンクの陽耀勳も外野手として所属している。2017年と2018年シーズンでは、前期後期の2期ともに優勝する完全優勝を成し遂げ、2018年のシーズンは「打高投低」と言われる台湾プロリーグで、唯一のチーム打率3割超えのAVG.320を達成している。

台湾随一の本拠地「桃園国際棒球場」は魅力がいっぱい

 本拠地は桃園国際棒球場で2009年12月完成し2011年にはLamigo Monkeysが転入。北台湾唯一のプロ規格球場であり、台湾初の固定型本拠地だ。両翼100メートル、中堅121.9メートル。収容人数は2万人となっている。

特徴その1 メトロ駅直結型球場
 桃園メトロが開通し利便性が大幅向上した。台北、桃園空港、桃園球場まで乗り換え不要1本で足を運べる台湾唯一の球場だ。車やバイクで見にくることがほとんどであったが、球場周辺の渋滞緩和を果たし、現在は大型商業施設を建設中である。

特徴その2 豊富な預り所
 遠方や海外からのファンも増加傾向にあり、「手荷物一時預かり所」を設置。モバイルバッテリー、グローブ、ヘルメットの貸し出しも行う。また、キッズルームや哺乳室も存在し、子ども連れファンも快適に過ごせる。

特徴その3 グッズ
 グッズは、子どもから大人を対象に、衣類や置物、コップなど取り揃え、積極的にコラボグッズを販売している。普段着としても着られるデザインの服が多い。本拠地桃園国際棒球場には3店舗のグッズショップに加え、台湾全土の百貨店、ショッピングモール内に4店舗(台北2店舗、桃園、高雄)に常設グッズショップを構えている。

特徴その4 フード
 球場内のフードスペースはこれまで台湾を象徴する夜市式(屋台)から固定型フードコートへ改装し、衛星面の向上および外食チェーン店が参入している。2016年より、3塁側内野席後方(外野寄り)をレストラン席に改築。レストラン席は、コース料理(月替り)やTGIフライデーズや欣葉日本料理とのコラボも実現した。家族連れや友達グループ、企業から人気を博している。

特徴その5 女性トレーナーの活躍や行政との関わりでスムーズな球団運営
 清潔なロッカールームに、独立したトレーナールームやトレーニングルームもある。筆者が取材に訪れた日、グラウンドの上では、女性スタッフが目立った。女性アスレティックトレーナーが現場で腕をふるう光景は日本では、あまり見られないのではないだろうか。

 地元自治体や行政である桃園市からの全面協力を受けており、イベントの迅速な開催や野球による街づくり開発などの面においても、スムーズな球団運営が施せるのである。過去の桃園市によるイベント試合では、蔡英文元総統が始球式で登板する場面も見られた。

 羽田空港からフライト3時間程度で、空港から直通メトロもある。日本人イベントも開催されており、台湾プロ野球を始めて現地観戦するならLamigo Monkeysはうってつけかもしれない。(大森雄貴 / Yuki Omori)

© 株式会社Creative2