東名あおり事故公判 被告に懲役23年求刑

 大井町の東名高速道路で昨年6月、「あおり運転」を受けて停止させられたワゴン車が後続車に追突されて静岡市の一家4人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた無職の男(26)の裁判員裁判の論告求刑公判が10日、横浜地裁(深沢茂之裁判長)であった。検察側は「2人の命を奪う悲惨な結果を招き、決して許されない行為」などとして懲役23年を求刑した。判決は14日に言い渡される予定。

 起訴状などによると、被告は昨年6月5日夜、現場から約1キロ手前の中井パーキングエリア(PA)で車の止め方を注意されて激高。一家のワゴン車に幅寄せや割り込みなどを繰り返し、進路をふさいで路上に停車させた。降車した被告がワゴン車に詰め寄った際に後続の大型トラックが突っ込む事故を誘発し、被害者の男性=当時(45)=と妻=当時(39)=を死亡させ、長女(17)と次女(13)に軽傷を負わせた、とされる。

 公判は、運転中の事故を前提とする危険運転致死傷罪が、今回のケースで認められるかが最大の争点。検察側は論告で、「ささいなことに腹を立てて妨害運転や暴行を行い、一家を危険にさらした」と指摘。低速での走行や停車が原則禁止されている高速道路上での被告の行為は危険運転に該当するとした上で、「誘発した追突事故と一連の行為と言える」と述べた。

 監禁致死傷罪についても、被告が一家のワゴン車の直前に停車したことや被害者の男性に暴行を加えた点から、一家を脱出困難な状況に陥らせたと主張した。

横浜地裁

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