野球用品買い取り 国内最大 諫早のベンチャー企業

 長崎県諫早市のベンチャー企業「Rafa Event」(ラファイベント)が展開する野球用品の買い取りサービス「ピンチヒッター」が、全国のスポーツ用品店に広がり、注目を集めている。同社は店舗や個人客から中古グローブを中心に国内最大の月間1万8千点を買い取り、中古品として販売。スポーツ用品販売大手の「アルペン」(東京)との業務提携も始まり、事業を広げている。

 ラファイベントは2013年創業。当初はLED照明の営業が主体だったが、営業先の用品店が旧型グローブなどの在庫を抱え、新商品の仕入れに手が回らない状況を知り、買い取り事業を考案。その後、個人向けサービスも始め、買い取り専門サイトを立ち上げた。

 現在、中古品を下取りで買い取っている「加盟店」は全国220店舗に増え、サイトを含めた累計取扱数は21万点を超えた。今年9月からは大型店約150店を運営する「アルペン」と提携。下取りサービスを展開する店舗を段階的に増やしており、来春からは全店での導入を計画する。

 個人客とのやりとりは商品の写真を送ってもらって査定し、成約すれば即日送金する迅速さが特長。買い取り価格は5千~2万円が中心で、成約率は約9割と他の中古品売買サイトと比べて高い。吉岡拓哉社長(30)は「他社に先駆けてサービスを始めたことで相場をつかむことができた。データベースを基に“市場価格”を提示しており、納得して取引してもらえている」と自信を見せる。

 買い取った商品は韓国や台湾など海外を中心に販売ルートを構築。国内向けは他社のECサイトで販売し、1点1万~2万円の価格帯を中心に草野球や親が子どもと遊ぶ目的などで購入されている。今後は独自の販売サイトも立ち上げ、中古用品の販売市場にも本格的に乗り出す方針だ。

 また、約5万6千人の利用者の年齢やポジションといったビッグデータも蓄積しており、加盟店の販売促進などでの活用を進めている。“野球人”に関する情報の蓄積、活用は強化していく方針で、SNSやアプリを立ち上げる予定だ。

 吉岡社長は「買い取りを利用してもらえば、子どもが野球を始めるときの負担を減らすことができ、野球人口減少の食い止めにも貢献できる。野球に特化したサービスを打ち出し、5年以内の上場も目標にしている」と意気込んでいる。

 同社は年商は非公開、従業員約20人。2017年から大村市の商業手形割引「大黒屋」と資本提携している。

店舗や個人から買い取ったグローブやバット=長崎県諫早市永昌東町、Rafa Event長崎オフィス

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