リケジョの今

 リケジョの先輩に、女子中高生らが話を聞く。そんなセミナーが長崎大で開かれたと先日の紙面にあった。窯業技術、建築設計、水産…幅広い分野の仕事や研究が話題になったらしい▲リケジョとは「理系女子」の略。理系の世界で女性は長らく少数派だった。大勢の男子の中でぽつんと理系の勉強をするのは勇気が要る-そう考えたことのある女子生徒もいたに違いない▲5、6年前からリケジョという言葉を耳にするようになった。理系分野で活躍する女性の存在に光が当たり、女子生徒の理系選択を後押しする力の一つにもなっているようだ▲リケジョの中には、ドボジョ(土木女子)も、けんせつ小町(建設業界で働く女性技術者)もいる。今やヘルメット姿で建設機械をさっそうと操る女性は珍しくなく、人手不足の業界で戦力となっている▲そんなリケジョの職業の代表格である医師。入り口となる医学部入試で女子受験者に不利になるよう得点を操作していた問題は、最初に表面化した東京医科大以外でも、有力私大で次々と実態が明らかになってきた▲女子医学生の増加に制限を設けてきた特定大学の差別的な姿勢は、多くの理系分野で活躍する女性が増える中では際立つ。リケジョの夢の実現を妨げない環境が整うことをあらためて期待したい。(泉)

© 株式会社長崎新聞社