多頭飼育届け出義務、罰則設けず 県動物愛護管理条例改正

 飼っている犬や猫が増えすぎて管理しきれなくなる「多頭飼育崩壊」を防ぐため、多頭飼育の届け出義務を新たに定める県動物愛護管理条例の改正について、神奈川県は13日の県議会厚生常任委員会で、届け出の未提出者に対する罰則は定めず、勧告の規定を設けることを明らかにした。

 同条例改正案では、多頭飼育崩壊や、犬や猫の世話で費用がかかり飼い主が生活に困ることを防ぐため、10頭以上を飼育する場合は届け出を義務づける。当初は届け出をしない飼い主に対し罰則を設けることが検討されたが、見送られた。

 県は届け出義務の目的について、「できるだけ早く飼育状況を把握することで、多頭飼育崩壊や動物の不適正な管理、飼い主の生活困窮防止の支援ができる」と説明。飼育状況が分かった時点で目的を達成したことになるため、「罰則規定は設けない」とした。

 届け出義務の実効性は、未届け者に対する勧告規定を設けることで確保する。条例の改正により、「関係機関などと連携しながら飼い主に問題解決のための助言や指導をし、飼育崩壊の未然防止など状況に応じた支援策を講じたい」とした。

 また、「県動物保護センター建設基金条例」を廃止する意向も示した。

 条例は来年4月にオープン予定の同センターの建て替え費用を寄付で募るため、2015年7月に制定。目標額の11億円に対し、今年11月30日現在の寄付額は約2億6800万円にとどまる。県は寄付額に達しなかった理由として「周知不足や期間が短かったこと」を挙げた。

ボランティアが猫の救出に向かった「多頭飼育崩壊」の現場。一人暮らしの男性の部屋で73匹を保護した=2017年8月、海老名市

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