滞在型交流施設 モニター事業終了 作家ら版画寄贈 南島原「アートビレッジ・シラキノ」

 長崎県南島原市南有馬町の交流施設「アートビレッジ・シラキノ」で、芸術家が約1カ月間生活しながら創作活動をするモニター事業が終わった。参加した東京の版画家らが13日、市役所を訪れ、松本政博市長に同市などを題材にした版画を寄贈した。
 作家を招いて長期間滞在し、創作活動してもらう同市の「アーティスト・イン・レジデンス」事業を実施する前の試験運用。今回滞在したのは、画家の作品を版にして印刷する「摺師(すりし)」で、版画工房を経営する河原正弘さん(47)と、ともに版画家の宮嶋結香さん(33)、鈴木理恵さん(26)。旧白木野小を活用した同施設に住み、銅版やリトグラフ用に工房を整備し、制作や市民向けワークショップ、ギャラリートークに取り組んだ。
 この日は河原さんと鈴木さんが出席し、雲仙・普賢岳やカモメなどを描いた5作品を寄贈。松本市長が「皆さんの技術を残してもらいありがたい。今後も本市を訪れ刺激を与えてほしい」とねぎらった。作品は市庁舎や公民館に展示する。
 河原さんは「道具の配置など工夫して使いやすい工房にできた。また何かの機会に呼んでもらえれば」、鈴木さんは「住みながら工房を24時間使え、自然豊かで静かな環境で創作に集中できた。版画体験などの催しで市民も熱心に取り組んでくれた」と話した。
 市は来年3月に別の作家3人を招く。木版やシルクスクリーン用にも工房を整備し、モニター事業を完了させる。来年夏までには作家を公募し、本格運用に移行する予定。

松本市長(右)に作品を寄贈した河原さん(左から2人目)、鈴木さん(同3人目)ら=南島原市役所

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