冬の風を武器にする
季節ごとに様々な顔を持つ日本の四季は、アウトドアレジャーである釣りに密接した深い関係性を持っています。
その中でも風は通年釣りに大きな関わりを持ち、釣り易さや釣果までも左右する大事な要素。
せっかく予定が空いたのに強風のせいで釣りが出来なくてガッカリすることだってありますよね。
北風はウザい!けど……
冬になると北方向から吹く『北風』が釣り人にとって厄介な存在になると思います。
ただでさえ風は釣りの邪魔なのに、冷気まで運んでくるのだから、大迷惑野郎と言ってもよいでしょう。
しかし、見る角度をちょっと変えるだけで釣果をサポートしてくれる“心強い武器”へ変化することだってあります。
風がもたらす影響、そして風向き別で意識したいポイントを見ていきましょう。
向かい風
某男性ボーカルのミュージックビデオでよく見かける正面から吹き付ける向かい風。
画像の女性は安らかな表情をしていますが、強さによっては目も開けれず、釣りをするには決していい環境とは言えません。
しかし、海の中ではアングラーにとって嬉しい現象が発生している可能性もあります。
ベイトが岸に寄りやすい
陸地方向へ吹く向かい風は、魚のエサとなるプランクトンやベイトが岸側に流され、“魚が一箇所に集まりやすくなる”のです。
さらには海中の酸素濃度も増えることから、“釣り場全体の活性が高くなる”嬉しいメリットが存在します。
つまり向かい風を加味して餌場をしぼることで、釣果にも繋がり易い。という、まさにI LOVE向かい風な図式が完成します。
しかし、捕食対象となっていたエサが風の影響により流されることで、今まで反応していたパターンが一気に通じなくなる場合もあります。
固定概念に縛られず、魚の反応を見ながら攻略を考えてみましょう。
向かい風の注意点
正面方向からこちらに向って吹く風ですので、ゴルフなどと同じようにキャスト飛距離が圧倒的にダウンするデメリットがあります。
風の影響を最小限に抑えるには、低弾道でのキャストが効果的。高い弧線を描きやすいオーバーヘッドキャストではなく、低弾道を出しやすいサイドハンドキャストをおすすめします。
また、ラインスラックがあるとトラブルに繋がる危険性も高まります。フェザリングをしっかり行い、余分なラインを最小限に抑えましょう。
追い風
釣り場では、背中から吹き抜ける追い風パターンもよくあるシチュエーションですよね。
強い風なら空も飛べそうな気がしてしまいますが、釣りに大きな影響を与えることは確かです。
ルアーの飛距離が伸びる
追い風最大のメリットと言えば、ルアーの飛距離が圧倒的に伸びることです。
飛距離が伸びれば伸びるほど魚との接点が増え、また普段ルアーが届かずプレッシャーが低い竿抜けポイントを独り占めすることだって出来ます。
潮の状況にもよりますが“沖に向って仕掛けを流す釣り”もやり易くなりますよ。
追い風の注意点
キャスト後、ラインが風で持ち上げられ沈みづらいデメリットも存在します。
特に風の影響を受けやすく、水に浮くPEラインはルアーの自重がある程度ないと操作は困難を極めます。
安全面についてですが、足場の狭い防波堤などには立たないで下さい。特に追い風の場合、背中を押されているのと変わらない状態です。
転落事故に繋がりかねませんので、強風時のマナーとして意識し、安全第一の釣りを楽しみましょう。
横風
メリットも少なく、利用しづらいのは横風です。
とにかく釣りがやりにくく、エギングやラインゲームなど軽めのルアーを扱う釣りでは特に大きなデメリットを発生させます。
釣りにならないケースも
キャスト方向に向かって横から吹く風は、魚を釣り上げる為に必要な情報伝達を伝わりにくく妨害し、ひどい時には遮断させてしまいます。
それは繊細な釣りになればなるほど言えること。
天気予報やアプリなどのツールを駆使し、横風の影響がないフィールド選びが重要ですが、風からの逃げ場がなく、どうしても横風の当たるポジションで釣りをしなくてはならない時もありますよね。
そういった場合は魚を狙うことから一旦離れ、地形や潮の流れなど、現場の状況把握からスタートすることをおすすめします。
状況さえ掴んでおけば、横風の影響があってもボトムを感知できたり、狙いたいポイントに仕掛けを入れやすくなりますよ。
風は友達
自然相手の釣りなので、風を筆頭に様々な気象条件は人間にはどうしようもないことです。
天候と上手く調和して釣りをエンジョイするならのであれば、まずは風を味方につけることが最善の策ではないでしょうか。
今回ご紹介した通りデメリットばかりではありませんので、上手な付き合い方を目指していきましょう。
周りが釣れない中しっかり結果を残す凄腕アングラーは、自然との付き合い方が上手い人なのかも知れませんよ。