WRC:カリ・ロバンペッラ、2020年にトヨタ加入か? シュコダも移籍容認へ

 2018年にはシュコダのワークスサポートを受けWRC世界ラリー選手権のWRC2クラスに参戦したカリ・ロバンペッラは、自身のシーズンやドライビングを振り返るとともに、2020年シーズンに向けトップカテゴリー昇格の準備はできているとコメント。その際には、シュコダも契約形態いかんに関わらず、自身の意向を最優先する考えを明かした。

 元WRCワークスドライバーのハリ・ロバンペッラを父に持ち、現在18歳となったカリ・ロバンペッラは、若干8歳のときに地元フィンランドで撮影したラリードライビングの映像を動画投稿サイトにアップしたことで、その圧巻のマシンコントロールに対し世界中のラリーファンから“神童”とも呼ばれた。

 そのキャリア初期から彼のマネージャーを務める敏腕代理人のティモ・ヨキも、2018年WRC2シーズンの戦績を含め「すでにカリはトップカテゴリーにデビューする準備が整ったと感じている」と語るなど、その昇格に向けた活動をスタートさせている。

 これまで“フィンランド・コネクション”と呼ばれ、父のハリを筆頭にユハ・カンクネン、トミ・マキネン、ミッコ・ヒルボネン、ヤリ-マティ・ラトバラなどそうそうたるトップドライバーたちを送り出してきたヨキが、いよいよその辣腕を振るう考えだ。

 その移籍昇格先の最有力候補と考えられているのが、かつての“ヨキ門下生”であるマキネンがチームプリンシパルを務めるTOYOTA GAZOO Racing WRTで、2019年シーズンの契約を済ませているレギュラードライバーのラトバラ、クリス・ミークがともに単年契約となっていることから、そのどちらかのシートがリプレイスされる可能性がささやかれている。

 現在、ロバンペッラと長期契約を結んでいるシュコダのチームマネージャー、パヴェル・ホルテックも彼の将来の可能性に「立ちふさがるつもりは毛頭ない」と断言する。

「我々から言えることがあるとすれば、もちろん現時点でカリとは長期契約を結んでいて、シュコダのワークスドライバーとして活躍して欲しいと願っているということだ」とホルテック。

「しかし、知ってのとおりユホ(ハンニネン)やエサペッカ(ラッピ)のように、若い才能たちに飛躍のチャンスが訪れたときは、その機会を破壊するような真似だけはしてはならない、ということだ。もしカリが『みんな聞いて欲しい、僕は受けた提案に応えてよりレベルの高い場所で走りたい』と言ってきたら、それを止めることなどできないんだ」

「カリは本当に才能あふれる素晴らしいドライバーだし、我々全員も彼の将来を楽しみにしている。18歳のラリーストに対して多くを語るのは少々リスキーだが、彼が引き続きトップドライバーの階段を上っていくことを期待している」

WRC昇格2年目の2018年は、WRC2クラスで2連勝を飾るなど早くも頭角を現した
2017年のWRCデビュー時にはフォード・フィエスタR5をドライブ。2019年も引き続きシュコダのステアリングを握る

 一方、ロバンペッラ本人は2019年を「より多くの経験を重ねるシーズン」と位置付けており、多数のイベントにエントリーすることが目標だと述べ、WRC2タイトルに関しては「自分にとってあまり意味のあるものではない」とも語っている。

 来季も引き続きシュコダ・ファビアR5のステアリングを握る形になるロバンペッラは、ワークスマシンのドライブに加え、それ以外のラウンドではヨキ門下生でもある元WRCドライバーのトニ・ガルデマイスター率いるプライベーター、TGSワールドワイド・チームのマシンをドライブする予定だ。

「もちろん来季(2019年)の成績や成否に左右される問題だとは思うけど、より多くの経験を積み、さらにスピードに磨きを掛けることができれば、それは2020年に向けた準備になるよね」と語ったロバンペッラ。

「でも、この先のことなんて誰にもわからないし、R5カテゴリーは僕にとっても速いドライバーたちと勝負できる格好の場所なんだ。この先もし、2年、3年とWRC2でドライブすることになったとしても僕はあまり気にしない。決して急いではいないからね」

 2018年はロバンペッラのチームメイトとして、同じくシュコダ・ファビアR5をドライブした2017年WRC2王者のポンタス・テディマンドは、対照的にワークスチームから去る決断を下し、WRC昇格の可能性を模索している。

「すでに4シーズンを過ごしたし、もう1年ここで戦う選択肢もあったけど、離れる時期が来たと思ったんだ」と、その決断の背景を明かしたテディマンド。

「もう28歳になるし、WRCに上がりたいならアクションを起こす必要がある。WRカーの機会を探っているけど、まずは地元のスウェーデンで走れれば、確実に結果を出せるイベントのひとつになるだろうね」

 一足先に飛翔の可能性を模索する先輩は、元チームメイトの若手に賛辞とエールを送った。

「正直なところ、カリの才能は特別なものだ。彼のような存在はこれまで見たこともなかったし、彼はとても早く学び、即座にスピードを見つけ出すことができる。彼の成功は疑う余地のないものだね」

ターマック、グラベルでも勝利し、WRC2でのランキングは3位と、オールラウンダーぶりも発揮した
2020年の去就は未確定ながら、トップチームのトヨタ移籍が実現すれば面白い存在となりそうだ

© 株式会社三栄