相談内容をシートで共有 たらい回しを防ぐ 座間市が県内初の試み

 行政窓口の悪弊とされる「たらい回し」をなくそうと、座間市が新たな相談支援事業を試行している。複数の窓口にまたがる市民の相談に、最初に対応した職員が担当業務にかかわらず相談内容の概要を「つなぐシート」に記入し、そのシートを関連部署で共有する試みだ。東京都足立区の取り組みを参考にしたもので、県内自治体では初めてという。

 市生活援護課によると、A4版のつなぐシートを活用した包括的な相談支援事業の仕組みはこうだ。

 最初に相談を受け付けた窓口職員が日付、自分の所属と氏名を明記する。次に個人情報の取り扱いについて同意を求めた上で、相談者の氏名や住所、家族構成などを記載。「病気や健康、障がい」「収入・生活費」「ひきこもり・不登校」といった15項目の相談内容について該当する項目に丸を付けていく。

 職員が自らの担当業務だけでなく、全体的な状況を聞き取り、記録するのがポイント。相談内容が多岐にわたる際などに、相談者を関連部署へ案内するとともにシートを引き継いでいくことで、同じ内容を繰り返し説明する負担を軽減できるとしている。

 同課は「生活困窮者らが相談したい内容を整理して適した窓口に訪れることが困難なケースが目立ってきた」と指摘。「職員の側にも『縦割り』意識があり、全庁的に取り組むことでたらい回しを改善したい」としている。

 試行期間は今年9月~来年2月で、これまでに21件の利用があった。同課は「利用者からは『話をまず聞いてもらえて安心した』などとの声が聞かれた。試行で特段の支障が見られなければ、間を空けずに本格実施に移行する」と話している。

座間市が試行的に導入している「つなぐシート」

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