かつての地場産業を体験 川崎の小学校で海苔作り

 かつて地元で盛んだった産業を学ぼうと、「海苔(のり)付け体験学習」が13日、川崎市立殿町小学校(川崎区)で行われた。かつての“海苔名人”を講師に迎えて、4年生85人が参加。水からすくったノリを型枠に流し込むなど、冷え込む冬場には厳しい作業に挑戦した。

 多摩川河口に位置し、現在では工場やライフサイエンス分野の研究開発拠点が並ぶ同校周辺では、1970年ごろまでノリの養殖が営まれていた。地域の伝統と歴史に理解を深めてもらおうと、体験学習は85年から毎年、ノリを収穫する冬に行ってきた。

 指導したのは片倉正勝さん(79)ら10人。片倉さんは「冬になるとこの辺りは海苔干し場として使われた。河口で海水の塩加減がよく、甘くて良質の海苔ができた」と話す。

 作業には、同校で保存されてきた、棒の先に6本の刃を取り付けてある突き包丁を使用。児童らはこつを教わりながら、宮城県産の生ノリを細かく切断するなどしていた。

 小田川芙羽さん(9)は、「ノリを薄くまんべんなく(海苔簀(す)に)延ばすのが難しかった。水が冷たかったが面白かった」と笑顔。石垣悠平君(10)も「ノリの感触が気持ち良かった。できたらご飯に巻いて食べたい」と話していた。

突き包丁を使って生ノリを小さく刻む子どもたち

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