「通さるく」激減 コース見直しなど てこ入れ図る

 長崎のまち歩き観光「長崎さるく」の一つ、「通さるく」の参加者数が減り続けている。国内で相次いだ大規模災害で遠のいた客足が戻らないことなどが要因。運営主体の長崎国際観光コンベンション協会は、コースの見直しやガイドの質の向上などを通じ、てこ入れを図る。
 「さるく」は2006年4~10月、市が開いたまち歩きイベント「長崎さるく博」が始まり。07年度から通年型の「さるく」へ形を変えた。
 3種類の「さるく」のうち、市民ガイドとコースを巡る「通さるく」の参加者は06年度約4万9千人。17年度は約6420人と落ちこんでいる。
 10年度から運営を移管された同協会によると、参加者の約7割が県外からの観光客。端島(通称・軍艦島)の上陸が解禁された09年度の参加者は約3万3千人、NHK大河ドラマ「龍馬伝」で長崎が沸いた10年度は約3万7千人と好調だった。しかし、東日本大震災で「自粛ムード」が広がった11年度や熊本地震のあった16年度に減少して以降、回復できていない。
 誘客対策として、同協会は「さるくを組み込んだプランを作ってもらうなど、宿泊施設と連携していきたい」と強調する。
 魅力を上げるため、コースを見直し、定時出発から完全予約制へ変えた。コースは32に整理。似たようなテーマの立ち寄り場所を集約し、参加者が選びやすくした。立ち寄り場所での菓子などの土産も充実。参加料は従来の500円を千~2千円台に上げたが、施設入場料を含めたものに改定した。
 ガイドの質の向上策として、外部講師を招いた講座を開くと同時に、待遇面も改善。1回千円だった謝礼を1500円に上げた。若い世代の視点も取り入れる。地域連携協定を結ぶ長崎純心大では、授業の一環で「さるくガイド」を養成する。
 ほかに、会員制交流サイト(SNS)の活用やウェブサイトの充実など、情報発信も強化したい考え。協会は「参加した人の声で広がるようなコース作りに取り組む。地元企業がまちを盛り上げようと企画する学さるくも拡充していく」と意気込む。

さるくガイドの案内でまちを歩く市民ら(2016年4月)

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