古賀オール、タブレット活用し〝動画〟で指導 業務の実地教育を効率化

 コイルセンター(CC)や厚板溶断業など各種鋼材加工現場では、職場スタッフに実務作業を習得させるための教育・訓練にOJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)手法を用いるケースが多い。実際の日常業務を通じた指導・実地教育のため、短時間で効率よく身につきやすい利点がある。

 ただ、限られた人数の職場では常にマンツーマン指導ができるとは限らず、その際は「作業手順書」「業務マニュアル」といった手引きガイドを用いるが、多くの場合、文書や写真(静止画)で構成されており、モノの動きや動作までは上手く表現しきれていない。

 古賀オール(東京・小伝馬町、社長・古畑勝茂氏)ではタブレットを活用し、カラー動画を主体としたオリジナルの作業手順書を新たに作成。CC事業の中核拠点である東京工場(江東区新砂)の第2工場スリッター職場で実用化した。

 無料の動画編集アプリを使い、アンコイラー操作や計測方法、スタンド操作、リコイラー作業、製品搬出といった一連の工程について動画や静止画像の取り込み、説明文字入れなど編集に必要な作業を行い、完成させた。

 編集期間は約2カ月。今夏に試用を開始し、詳細チェックを経て今は実際に活用中だ。

 同社では「TJT(タブレット・ジョブ・トレーニング)」と命名。動画なので実際の動きを正確かつスピーディに視覚でイメージでき、詳細かつ多くの情報が正確に把握できる。記憶にも残りやすい。

 特に新人や職場配転者の初期のOJTに有効で、指導者も付きっきりにならずに済む。

 同社ではこれを機に(1)作業手順を見直し・改善しながらタブレット化の効果を他職場・他拠点へも水平展開しつつ、こうしたデータを蓄積することで将来の技能伝承にも生かしていく考え。また、この手法を今後は「KYT(危険予知トレーニング)」にも応用していきたいとしている。

 なお、この「TJT」は今年の小集団活動で1位に輝いた。

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