車いすラグビー日本代表・池透暢選手がちばてつや作品に!? 玉山鉄二が声優初挑戦！

車いすラグビー日本代表・池透暢選手がちばてつや作品に!? 玉山鉄二が声優初挑戦！

2020年パラリンピックに向けて、さらにパラスポーツを盛り上げるため、世界に誇る日本のアニメでパラアスリートのオリジナルストーリーを描く「アニ×パラ～あなたのヒーローは誰ですか～」（NHK BS1ほか）の第5弾がついに完成！ 今回は社会現象を巻き起こすほどの人気を博した「あしたのジョー」をはじめ、数々のスポーツ漫画の名作を世に送り出してきた、ちばてつやさんと車いすラグビーのコラボレーション作品です！ 今作はなんと、12月14日から16日に開催された第20回ウィルチェアーラグビー日本選手権記念大会の会場・千葉ポートアリーナにて試写会が行われました。会場にはアニメの主人公のモデルとなった池透暢選手（車いすラグビー日本代表・主将）と池崎大輔選手（車いすラグビー日本代表）も登壇。現地にお邪魔した記者が、アニメの魅力と選手の声をお届けしたいと思います！

まずは車いすラグビーのご紹介から。車いすラグビーは手足などに障がいのある選手4人が攻撃型・守備型とそれぞれの専用車両に乗り、パスやドリブルでゴールを目指す競技です。車いす同士のタックルが認められており、迫力のある激しいプレーと巧みな車いす操作が見どころ。日本はリオデジャネイロパラリンピックで銅メダル、そして今年8月の世界選手権で金メダルを獲得した今注目の競技です！

アニメはラグビーのチームメートだった上杉陸（声・玉山鉄二）という元ラグビー選手が主人公の物語。ある日、陸が運転していた車が大事故を起こし、同乗していたチームメート・日村雄馬と共に車いす生活を余儀なくされてしまいます。親友を巻き込んでしまったことへの悔いと、思うように動かない体への葛藤を抱え、陸は人生のどん底を味わいます。そんな時に彼が出合ったのが車いすラグビー。物語では彼が選手として活躍し、世界の強豪オーストラリア代表との熱い一戦を交える姿が描かれています。今作では試合は終わらず、スポーツ観戦好きの記者としてはこの先にどんな試合の展開が待っているのか、とても気になるところでした。

上映が終わると、ちばさんと、主人公の陸の声優を担当した玉山さんからのVTRコメントが流れました。ちばさんは「5分のアニメですが、とてもドラマチックになっているので、ぜひ画面の向こうの選手を応援していってほしいと思います」とコメント。また今回初めて声優に挑戦したという玉山さんは、「本当に難しくて、いろいろと勉強させられました。健常者が想像もできない苦しみから、自分を成長させるために、何かをつかむために必死に努力している人間の素晴らしさとか、まぶしいほど輝かしい姿を皆さんに感じていただきたいです」と陸を演じることで感じたパラスポーツの熱さを語ってくださいました。

そして大事な試合の合間に駆け付けてくださった、陸のモデルとなった池選手と池崎選手から、直接アニメ化に対してのご感想を伺うこともできました！ 池選手は「自分がファンだった『あしたのジョー』の作者のちばさんに主人公のモデルとして描いていただいて、月並みなコメントではありますが、信じられない気持ちで、そしてとてもうれしかったです。モデルにしていただいたということは、ちばさんに自分の今までの人生の背景に何かを感じてもらえたということだと思うので、それを描いてもらえて本当にうれしいです。アニメにはつらかった時の話も出てきて、それを見て当時を思い出したりもしましたね」とおごることのない真っすぐな言葉で伝えてくださりました。また「このアニメの最後はまだ試合が終わっていないので、この先を見てみたいと思いました」と、池選手も記者と同じように物語の続きが気になっているようでした。本当に臨場感あふれるアニメで、「え、勝つの？ 負けるの？ もっと応援していたい！」という気持ちが湧き上がり、実際の試合を観戦したくなる要素が満載でした。

また、「アニメを見てここがすごいと思ったところは何ですか？」という質問に対しては、それまで先に池選手に質問に答えてもらっていた池崎選手が「主人公がパスを投げる姿が完全に池だった！」とマイクを渡さずに即座に回答（笑）。「似てるのかなぁ？」と首をかしげる池選手に対して「あの投げ方はそっくりだよ。俺が言うから間違いない！（笑）」とアニメの再現度の高さを熱弁してくださいました。この質問に対しは、池選手は「相手国の強豪・オーストラリア代表の選手と試合中に対峙（たいじ）した時の第一印象が、自分の経験と同じで、こんなだったなぁと思い出したのでとても印象に残っています」と追体験をしたことを教えてくださいました。選手に実体験を思い出させてしまうほどリアルな描写は必見です！

そして、このアニメのサブタイトル「～あなたのヒーローは誰ですか？～」にちなみ、2人にとってのヒーローは誰かもお伺いしました。すると池選手は少し考えて、「誰が、というのはパッと思いつかないのですが、周りの皆さんがヒーローだと思っています。僕たちは1人では輝けなくて、見てくれる人、応援してくれる人がいて輝くことができるので、皆さんがヒーローだと思っています」と回答。また池崎選手も「選手みんながヒーローであるべきだと思っています。僕たちを見て憧れてもらえたり、やりたいと思ってもらえたり、それを見てファンになる人もいると思うので。そんな選手になった上で、先ほど池選手が言った、みんながヒーローという話があるのかなと思います」と答えてくださいました。ちょっと難しい質問をしてしまい困らせてしまいましたが、応援してくれるファンが大きな支えになっていること、そしてあらゆる方々に感謝をしていることを力強い言葉で明かしてくれました。

「2020年のパラリンピック開催時には、すでに盛り上がった状態で皆さんに試合を観戦してほしい」と言うお二人。彼らのヒーローになるために、そして2020年東京パラリンピックをより楽しむために必見のアニメです！ 今作品は、12月15日と16日にNHK BS１で放送されましたが、今後はNHK総合、Eテレも含めて随時放送していく予定とのことです。5分間のアニメにギュッと凝縮された車いすラグビーとパラスポーツの魅力を皆さんも体感してみませんか？

NHK担当 A・M