金属行人(12月19日付)

 サカコー創立50周年記事(本紙6日付)で、越智明社長の談話にあった「嫌なことを真っ先に報告する社員とその報告に『よくぞ言ってくれた』と言える上司がいる職場づくり(一部要約)」を読んだ読者から、感銘の反響が届いた。読者は、鋼材加工業のトップ。同じ社長として共感したと言う▼企業規模の大小にかかわらず、組織の末端から上層部に対し、あるいは部下(後輩)から上役(先輩)に対して耳障りな事柄や不快と思われる報告、意見進言は言いづらい。それが取引先など身近なステークホルダーから寄せられた事実であっても、ちゅうちょしてしまいがちだ▼クレームや叱責、改善・改良につながる現状批判、これ以上の堕落を阻止する忠告は、それを真摯に受け止めれば企業や組織、人を成長させる機会となり、逆に看過すれば信用信頼の失墜の種ともなる。これらの類は、経営層よりも日々市場と直面している現場のほうが集まりやすい▼その情報を、会社のためとして速やかに報告し、それをまた明日の会社づくりに生かそうとする風土こそ、風通しのいい働きがいある職場形成につながる▼「良い話や褒められた話は黙っていてもいいが悪い話、怒られた話はすぐに言え」と指示する企業経営者が多いのも納得できる。

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