元日マテールの鉄筋コンクリ外断熱工法、狭小・傾斜地に最適で各地で採用拡大 大幅な工期短縮、省力化実現

 元日マテール(本社・神奈川県藤沢市、社長・舩木清子氏)が展開する鉄筋コンクリート外断熱工法「ガンバリ工法」の採用が拡大している。2008年の設立以来、足場が要らず、同時に6種の作業に対応するといった特徴について地道な情報発信を継続。高級感や耐久性、遮音・防音、省力化をはじめ多彩な性能が市場から高い評価を受け、狭小地や傾斜地、新築の戸建・集合住宅などで実績を上げている。

 ガンバリ工法は、厚さ2ミリのアルミ押出し成形材と同60ミリのEPS断熱材が合わさったアルミ化粧板一体型枠「ガンバリボード」と、数百回繰り返して打設可能なFRP(繊維強化プラスチック)製の型枠「Gパネル」などで構成する。プラスチック製のクリップでパネル同士を連結する造りで、寸法精度が高く均一な仕上がりを実現する。

 同工法では、専用の安全対策器具「ボードスタンド」を使って室内側から作業する。全体を通じて足場が要らず、境界いっぱいや隣棟ぎりぎりまで敷地を活用でき、住宅が密集する地域をはじめ狭小だったり傾斜があったりする建築現場に最適という。

 同社によると、隣接地との隙間を確保しないで工事を進行することから建坪を広く取れ、室内からサッシなどを取り付けられる。専用のクリップでさまざまなエクステリアを据え付けられ、ルーバーや外階段を必要に応じて設置したり、取り外したりできるなど外装デザインの自由度も高い。

 さらにはアルミ材の裏にはアンカーボルトの機能を兼ねたセパレータを通し、コンクリート工事が終了後に金属の軸を引き抜く仕組みになっている。外気熱が室内に伝わるのを防ぐアルミ仕上げをコンクリートに固定することで、躯体内の結露や凍結によって仕上げ部分を脱落させない工夫を凝らす。

 ガンバリ工法は一連の利点を踏まえ、型枠工事だけで6種(足場・型枠・断熱・アンカー打ち・外装・清掃)の作業を一度に手掛けられる。コンクリートと断熱、外壁の各工事が同時に終わるため、大幅な工期短縮に寄与するほか、補修が軽微で打ち肌がきれいなど地震や津波に強い高性能な鉄筋コンクリート壁式構造の経済性を引き上げる。

 元日マテールでは長坂工場(山梨県北杜市)で部材の供給に対応する。本社にはモックアップを展示しており、詳細な工法の構造や打設後の様子が分かる。これまでは本社を起点に草の根の啓もう活動を徹底し、都市部や郊外で施工実績を積んできた。

 ガンバリ工法が果たす社会的使命は大きい。さらなる普及を通じて、産業界全体で顕著な人手不足や市場からの要請が根強い短工期、建設費用の削減といった諸課題の解消に道筋を付けるとともに、自然災害に強い住宅整備の一翼を担っていく。(中野 裕介)

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