【はれのひ判決】「独善的で甘い経営判断」…被告うなずく

 「懲役2年6月に処する」

 成人の日に晴れ着トラブルを起こした振り袖の販売・レンタル業「はれのひ」の銀行融資詐取事件。横浜地裁で実刑を告げる渡辺英敬裁判長の大きな声が法廷に響く間、元社長の篠崎洋一郎被告(56)は身じろぎ一つせず、神妙な面持ちでじっと前を見据えていた。終盤にあらためて量刑の説明を受けると、6回短く「はい」と答え、閉廷時には深々と一礼した。

 この日の被告は、白のフリースジャケットに灰色のスエットパンツ姿。心労からか、顔の輪郭は逮捕時と比べてすっきりした印象を受けた。傍聴席を気にするそぶりを見せ、しきりにまばたきを繰り返す様子からは緊張感もうかがえた。

 裁判長に促されて証言台の椅子に座ってからも、背筋を伸ばしたまま硬い表情は崩さなかった。判決文で「独善的で甘い見通しに基づいた経営判断」などと指摘されると、かみしめるように何度も小さくうなずいた。

 これまでの公判で「見えやプライドのために誤った判断を繰り返してしまった」と謝罪した被告。閉廷後、刑務官に連れられて法廷を後にする背中からは、自身の才覚を信じ、次々と事業を拡大していった経営者の面影が消えていた。

大勢の報道陣が集まった「はれのひ」の会見=2018年1月、横浜市中区

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