神戸製鋼、米アルミバンパー拠点に47億円投じ能力倍増 車軽量化ニーズ捕捉

 神戸製鋼所は19日、米国における自動車バンパーや骨格材の製造拠点「コベルコ・アルミナム・プロダクツ&エクストルージョンズ」(KPEX)の製造能力を増強すると発表した。約4200万ドル(約47億2500万円)を投じて溶解鋳造ラインや押出設備を増設する。車体の軽量化需要が強まる北米で生産能力を倍増の月1千トンに引き上げ、さらなる需要の捕捉を目指す。

 米国では衝突安全性の強化を背景に車体軽量化と併せて部材の高強度化ニーズが高まっている。バンパーや骨格材には衝突吸収性の観点からアルミ材の需要が増加しているため、神鋼は2016年に米国ケンタッキー州にアルミ押出から部材加工まで一貫して手掛けるKPEXを設立。17年に加工工程が稼働を開始し、先月に溶解・押出からの一貫生産体制に移行していた。現在はまだ立ち上げ中ということもあり設備に繁忙感はないものの、今後の引き合い増加に対応するため二つ目のライン新設を決めた。

 今回の設備投資では建屋の増築に加えて、溶解炉と押出プレスをそれぞれ1基ずつ追加する。バンパーや骨格部材に加工するための加工設備も導入する。20年前半の量産稼働で、生産能力は倍増の月1千トンに拡大する。

 神鋼は1990年代に日系自動車メーカー向けにアルミバンパー材を納入して以来、20年以上にわたって日本市場での実績を持つ。特に高強度7000系合金開発力と、断面設計技術力を両軸とした独自の軽量化提案はユーザーからの信頼が厚い。米国メーカーなどがひしめく市場において後発での進出となったが、独自合金で造るバンパー材への引き合いが強いことから稼働後1年足らずでの設備増強となった。

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