北方領土「どう使うかはわれわれの自由」 ロシア、強硬発言相次ぐ

By 太田清

記者会見するロシアのラブロフ外相=7日、イタリア北部ミラノ(タス=共同)

 北方領土の択捉、国後両島に兵士用宿舎が新たに建設されたことを受け、日本政府が外交ルートを通じてロシア政府に抗議したことについて、ロシア下院国防委員会のユーリー・シュブイトキン副委員長は20日までに、「クリール諸島(北方領土と千島列島のロシア語名)はわれわれの領土であり、必要と思うように使う権利がある」と反論した。ロシアメディア「FAN」が伝えた。 

 シュブイトキン副委員長は「日本の攻撃を準備しているわけではなく、われわれは国境の安全保障策をとっているだけで、どのような抗議も受け入れられない」と強調した。ニュースサイト「ガゼータ・ルー」は発言を引用した記事を掲載、アクセス2位になるなど大きな反響を呼んだ。 

 菅義偉官房長官は19日の記者会見で「問題の根本解決のため、北方領土問題を解決し平和条約を締結するとの基本方針の下、ロシアとの交渉に粘り強く取り組む」と述べた。 

 北方領土を巡っては、ラブロフ外相が北方領土がロシア領となったのは第2次大戦の結果だとする主張を認めない限り、領土交渉に前進はないと繰り返し強調しているほか、下院第2党の野党、共産党のジュガーノフ委員長が「国内情勢の不安定化につながる最大の脅威はクリール諸島問題」と述べるなど、ロシア側で強硬姿勢を示す発言が相次いでいる。 (共同通信=太田清)

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