13日にグループステージの全日程を終えたUEFAヨーロッパリーグ。
チェルシーやアーセナルといった優勝候補が前評判通りの実力を見せ、日本人が所属するザルツブルクとフランクフルトはグループステージ6戦全勝という快挙を達成した。
ヨーロッパリーグといえば欧州主要リーグ以外のクラブにも注目する絶好の機会であり、この大会での活躍からビッグクラブへのステップアップを実現する選手も数多い。
今回は、グループステージ突破を決めたクラブから飛躍に期待を込めて5人の若手選手をピックアップしたので紹介したい。
ミヤト・ガチノヴィッチ(フランクフルト)
前年度準優勝のマルセイユとラツィオが同居した「死のグループ」を首位通過したフランクフルト。
そんなチームを牽引するのが、最終節のラツィオ戦で豪快なミドルシュートを決めたセルビア代表のガチノヴィッチだ。
既にブンデスリーガでも結果を残している23歳のアタッカーは、ターンオーバーもあり今季はELに比重を置いて起用されているが、全6試合で2ゴール4アシスト(アシストランキング2位)を記録。
チームの得点源として、ドイツ勢で初となる全勝突破の立役者となっている。
エミール・スミス=ロウ(アーセナル)
グループEで順当に1位通過を果たし、さらに若手の積極起用も目立ったアーセナル。
ELを熟知したウナイ・エメリ監督によってピッチに送り出され、そして結果を残したことで、若手選手達は大きな自信を身につけたことだろう。
6試合で2失点(ベティスと並び出場48チーム中最少)という堅守が下支えとなり、中盤と前線で若手が躍動できる環境が作られたのは好循環だと言える。
そのガナーズで頭角を現したスミス・ロウは2000年生まれの18歳。
第2節のカラバフ戦では片道約4000kmの長距離移動をものともせずに初ゴールを決めるなど、2列目からの飛び出しで持ち味を発揮。グループステージでは2ゴールの活躍で若手の台頭の象徴となったのだ。
ダニ・オルモ(ディナモ・ザグレブ)
クロアチア代表のスターを数多く輩出しているディナモ・ザグレブ。
ヨーロッパの舞台では出場するたびにグループステージ敗退という憂き目に遭っていたが、今季のELでは開幕から4連勝と絶好調。クラブの悲願だったグループステージ突破を第4節の段階で早々と決めてみせた。
躍進の立役者は、スペイン人のダニ・オルモ。バルサで育った20歳のドリブラーは全6試合で1ゴールだったものの、被ファウル数でチーム内トップの21を記録した。これは彼が対戦相手にとっていかに脅威だったかを証明するデータと言えよう。
そのテクニックは母国スペインでも注目されており、今後ラ・リーガ移籍の噂が浮上する可能性も考えられる。
スティーヴン・オデイ(FCチューリッヒ)
2シーズンぶりのEL出場となったFCチューリッヒは、レヴァークーゼンと共に第4節でグループAから突破を決めてみせた。ちなみに、前回出場した2016-17シーズンは2部のクラブとしてELに出場するという異例のケースだった。
そんなチューリッヒの新エースが20歳のナイジェリア人FW、スティーヴン・オデイだ。
ELでは全6試合に出場し1ゴール。シュート数13を記録しているが、枠内が4なのに対し枠外が9となっており、シュートの精度が課題とも言える。
国内リーグでも現在6ゴールと活躍中だが、さらなる決定力を身につけゴールを量産できるようになれば、今後ヨーロッパのビッグクラブが彼に注目することになるだろう。
ミコラ・シャパレンコ(ディナモ・キエフ)
ウクライナの名門ディナモ・キエフで背番号10を託された20歳の司令塔。トレードマークの長髪が目を引く超イケメンでもある。
昨シーズン後半からレギュラーに定着し、今季はここまで国内リーグで3ゴール1アシストと結果を残している。ELでは第4節のレンヌ戦が今季初出場だったが、この試合で欧州大会初ゴールもマークして存在をアピールすることに成功した。
ウクライナ代表でも5月に行われたモロッコ戦でA代表デビュー。
現在代表監督を務めるのは同じディナモの背番号10だったシェフチェンコだ。レジェンドの薫陶を受け、ディナモでも代表でも新しい歴史を作る存在として大きな期待がかかる。