東広島市最大のイベント「酒まつり」。豪雨災害にも負けず、実行委員会の熱意で、予定通り10月に開催が実現した。会場には募金用の樽が用意され、復興支援のチャリティーグッズも販売された。集まった募金やグッズの収益などは総額104万62円。11月14日に復興義援金として、二宮達雄実行委員から広島県に寄付された。
当日、知事室に訪れたのは二宮委員長をはじめとした実行委員会メンバーの他、東広島市の観光マスコットキャラクターのん太。湯崎英彦広島県知事に義援金を手渡した後、「湯崎知事も応援してねポーン!」とメッセージが読み上げられた。
酒まつりは今年で29回目を数える東広島市を象徴するイベントだ。市の中心部にある西条は、いくつもの酒蔵が軒を連ねる「酒蔵通り」があり「酒都」とも呼ばれている。全国の酒蔵から約1,000銘柄の日本酒が集まる「酒ひろば」会場などを目当てに、多くの日本酒ファンが集まる酒まつり。しかし、今年は7月豪雨の被災状況が大きく、被災直後は開催が危ぶまれていた。
平成30年7月豪雨により東広島市では2,730カ所の斜面崩落、7つの川で浸水があり、多くの命が失われた。JR山陽線、呉線も不通が続き、地域経済にも大きな影を落としていた。
酒まつりの開催が決まったのは7月下旬。樽募金の実施も同時に決定した。復興支援マスの販売は、実行委員会メンバーが企画する中で生まれたアイデアだ。会場周辺の地域も「がんばろう広島」の幟を立てて復興の機運を高めた。
「被災後は鉄道の不通で、中心市街地も活気がない状態。酒まつりを単なるイベントとして開催するのではなく、復興の足掛かりにしようという気持ちで取り組んだ。義援金を広島県全体の復興に役立ててもらいたい」と語る二宮実行委員長。復興支援の活動は来年以降も続けるという。
今年は「恋のしずく」、来年は「吟ずる者たち」と、ご当地映画の公開が続く東広島市。酒ブームの機運が高まる中、観光面からの復興加速に期待したい。
取材・文 堀行丈治(ぶるぼん企画室)