相模原市、指定管理4議案を撤回 市民生活へ影響懸念

 相模原市の施設を指定管理していた業者によるずさんな会計管理が市の監査で発覚した問題で、同じ業者の指定管理に関する4議案が市議会常任委員会で否決され、一度提案した議案を市が撤回する異例の事態となった。加山俊夫市長は20日の定例会見で、来年4月から4件の指定管理者が未定となったことを問われ、「市民生活に影響が出ないよう、なるべく早く決めたい」と述べた。

 議案撤回により指定管理者が未定となったのは、市内60カ所にある市営住宅、市民会館(同市中央区)、市立さがみ湖リフレッシュセンター(同市緑区)、市立勤労者総合福祉センター(同)。

 市営住宅をはじめ各施設の清掃・管理、出納業務などを担うだけに、4月以降の指定管理者が決まらなければ市民生活に影響が生じかねない状況だ。

 発端は指定管理者を対象に行われた市の監査。市立環境情報センター(同市中央)を指定管理しているビル・マンション管理の「ウイッツコミュニティ」(同市中央区)が、消耗品費用を二重計上し、購入した備品を市に報告していないなどのずさんな会計や事務処理が見つかった。使途不明金や公金流用はなかったものの、「収入支出のいずれも懸念を抱かざるを得ない状況」と指摘した。

 市は市議会12月定例会議に「選考委員会で適正に判断された」として同社を指定管理者の構成員として指定する4議案を提出した。市議会常任委員会は環境情報センターと同様の問題がないかと疑問視し、賛成少数で否決。市は「委員会の議論で指定管理者としての適格性に懸念が示された」として17日の本会議で4議案を撤回。市議会は20日に閉会した。

 委員会で議案が否決された後、市が議案を撤回するのは記録が残る1968年以降初めて。加山市長は会見で「厳しい議会の声を受け止めて、もう一度精査したい」と説明。今後については「再募集するのか、選考時に次点がある場合に繰り上げるのか、4月に間に合うよう早急に対応を決めたい」と述べた。

監査結果が相模原市議会で問題になった市立環境情報センター=同市中央区

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