「絵本サンタ」に歓声 川崎で読書普及に取り組む小松さん

 サンタからの突然の贈り物に親子でびっくり、にっこり-。川崎市中原区を拠点に読書普及活動に取り組む一般社団法人「ビブリオポルトス」代表理事の小松雄也さん(27)が20日、同区上小田中の「地域子育て支援センターおおと」を訪れ、サンタに扮(ふん)して乳幼児約70人に絵本をプレゼントした。

 小松さんは、読みたい本を紹介し合う書評合戦ゲーム「ビブリオバトル」の普及や、クラウドファンディングで支援を募って児童養護施設に本を寄贈する取り組みを続けている。

 こうした活動に加え、今年7月からは、家庭の本棚に眠っている絵本を地域の保育所などに寄贈する「絵本のまち、かわさき」運動を開始。これまでに約2800冊の本が集まり、市内40カ所の認可保育所、12カ所のわくわくプラザ(学童保育)に届けている。

 12月に入ってからは、「絵本サンタ」として市の地域子育て支援センターを中心に計7カ所を巡回中だ。市から委託を受け、「地域子育て支援センターおおと」で子育て相談や子育て講座、絵本の読み聞かせなどを行っているNPO法人ぐらす・かわさきが小松さんの活動を知り、「絵本サンタ」の来訪を頼んだ。

 20日、小松さんは同センターのクリスマス会に合わせて登場。寸劇でサンタ役になった小松さんから一人一人に絵本のプレゼントがあると知らされると、集まった保護者から「えー!」と喜びの声が上がった。

 3歳の長女直央(なお)ちゃんとともに訪れた中原区の吉田香澄さん(30)は「絵本の好みは偏りがちになりますが、こうした形で贈られるといろいろな種類の本に出合える。地域の中で本が循環するのはとてもいいですね」と喜んだ。直央ちゃんは「くだもの」という絵本をもらい、にっこり笑顔でページを繰っていた。

 「ママさんたちもとてもうれしそうです」とNPO法人ぐらす・かわさきの上村加奈子さんも「絵本サンタ」を大歓迎していた。

 「『サンタさんからもらった絵本』と言って大事にしてくれている子どもがいるのを知りました。ほんとにうれしい」と小松さん。

 「絵本のまち、かわさき」運動は地域の中で徐々に広がり、賛同者が絵本を集め始めている。小松さんは「中原区だけでなく、市内全域でこの運動を広げていきたい」と話している。

サンタに扮した小松雄也さんから絵本の贈り物を受け取る子どもたち=川崎市中原区の地域子育て支援センターおおと

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