丸く収めて

 交歓の場もお開きというときに一人が言う。「お手を拝借。いよおっ」、シャンシャンシャン…。年忘れの「手締め」の声と手拍子は弾んでいるだろうか▲手元の新明解国語辞典(三省堂)で「手締め」を引けば「一同が掛け声に合わせてする拍手。シャンシャンシャン、シャンシャンシャン、シャンシャンシャン、シャンと聞こえるように調子を取る」とある。一本締めの説明がやけに丁寧で、どことなくおかしい▲シャンを三つ、三つ、三つで「九」、最後のシャンで点を打ったら「丸」く収まると一説に言う。年忘れでは皆が心一つに、円満に手締めをするもの-と思っていたら、どうやらそうとも限らない。職場の忘年会は嫌という人が世には結構いるらしい▲田辺三菱製薬が全国の働く人に「忘年会に参加したいか」と聞くと、「どちらかと言えば」も含めて「したくない派」が4割以上いた。理由は「気疲れする」「上司の話が面倒くさい」…。早い話、肩が凝る、と▲かたや「参加したい派」は5割ほどいる。歳末のねぎらいの場に寄せる思いは人それぞれで、いずれ「参加希望者のみ」で開くのが習いになるかもしれない▲忘年会の時期もそろそろ過ぎて、来週末には多くで納会となる。今年も残すところ10日、心一つに「シャン」と締めたい年の瀬を迎える。(徹)

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