【ライブレポート】不朽の名曲の数々をキノコホテルならではの独自の魅力に昇華させた『サロン・ド・キノコ〜マリアンヌ東雲性誕祭』

キノコホテルの実演会では異色の企画としても知られる『サロン・ド・キノコ〜マリアンヌ東雲性誕祭』が、今年も12月20日に新宿ロフトで開催された。昨年に続き、今年も「マリアンヌ東雲に歌って欲しいカバー曲」のリクエストを募り、三部構成によるカバーを中心としたセットリストとなった(セットリストは下記に掲載)。

第一部、冒頭5曲はオリジナル曲。リリースされたばかりの会場限定盤CDに収録され既にキラーチューン化している「有閑スキャンドール」でスタート。ダヴ歌謡とでも呼ぶべき「樹海の熱帯」や、12月にできたばかりの最新曲も披露した。6曲目シーナ&ロケッツ「涙のハイウェイ」から、沢田研二「ストリッパー」、ヒカシュー「パイク」などのカバーが続く。

会場が充分に盛り上がっているところで、第二部に突入。マリアンヌに捧げるコーナーとして、従業員(メンバー)3人が、小芝居をいれつつプレゼント贈呈や脱力した演奏を披露というこの日ならではの余興。

休憩を挟み第三部に入り、ユーミン、近田春夫、泰葉、電気グルーヴなど、難易度の高そうな曲が続き、ウケ狙いではなく真剣に取り組んでいる様子が窺えたが、パンクなショーケン「愚か者よ」から美空ひばり「お祭りマンボ」へと流れる本編ラストは圧巻で、時代やジャンルを超越したグルーヴに満たされていた。

アンコールでは、今度はマリアンヌとジュリエッタ霧島からのサプライズとして、イザベル=ケメ鴨川とファビエンヌ猪苗代の勤続10年表彰および記念品贈呈が行なわれ、2人がうっすら涙ぐむ場面も。

最後に、森高千里の「私がオバさんになっても」を演奏し、ステージにはマリアンヌが愛してやまないというパンダも登場し大団円となった。

あまりに振れ幅の広い選曲にもかかわらず散漫に感じることがないのは、マリアンヌ東雲が曲によって使い分ける歌唱法の妙味、バンド・サウンドのアレンジ力によるものだろう。すべてがキノコホテルならではの独自の魅力に昇華されていた好企画の実演会であった。

キノコホテルは、12月30日に急逝した歌手・渚ようこを偲んだイベント『ナイト・オブ・エレガンス〜渚ようこさんに捧ぐ』に出演。31日には『YUYA UCHIDA presents 46th NEW YEARS WORLD ROCK FESTIVAL』に初出演する。

そして、2019年1月24日には、渋谷LOFT HEAVENでプレミアム単独実演会『サロン・ド・キノコ〜新春サイケ・ラウンジ2019』が急遽決定した。2月23日には、昨年に続いて熱海ニューフジヤホテルにて宿泊付き実演会『第2回サロン・ド・キノコ〜温泉きのこ芸者 in 熱海』を開催するが、こちらはすでにソールドアウトしている。(Photo:Yuta Taniguchi)

【『サロン・ド・キノコ〜マリアンヌ東雲性誕祭』セットリスト】

※( )内はオリジナルアーティスト

第1部

01. 有閑スキャンドール

02. 業火

03. 樹海の熱帯

04. 新曲〜タイトル未定

05. 愛はゲバゲバ

06. 涙のハイウェイ(シーナ&ロケッツ)

07. 新宿マドモアゼル(チコとビーグルス)

08. 恋の追跡〜ラブ・チェイス(欧陽菲菲)

09. ストリッパー(沢田研二)

10. パイク(ヒカシュー)

第2部

01. ササクレ音頭

02. キノコノトリコ

第3部

01. クールな恋(ゴールデン・カップス)

02. 埠頭を渡る風(松任谷由実)

03. ああ、レディハリケーン(近田春夫)

04. フライディ・チャイナタウン(泰葉)

05. Shangri-La(電気グルーヴ)

06. コズミック・サーフィン(コスミック・インベンション)

07. 愚か者よ(萩原健一)

08. お祭りマンボ(美空ひばり)

─アンコール─

09. 私がオバさんになっても(森高千里)

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