2008年ドラフト、パ各球団の成果は? ハムは4選手健在、摂津は今オフ戦力外に…

今オフに戦力外となった摂津正【写真:藤浦一都】

支配下、育成合わせて指名された50選手中35選手が戦力外に

 12月半ばに差し掛かり、2018年もあとわずか。プロ野球界もすっかりシーズンオフとなり、話題はストーブリーグが中心となっている。各球団の契約更改も進み、FA権を行使した選手たちの去就も全て決定。新助っ人の補強も、続々と発表されてきている。

 そして、今秋のドラフト会議で指名された各球団期待のルーキーたちも正式に契約を締結。各球団で新入団選手発表会も行われており、お披露目されている。中日に入団した根尾昂内野手やロッテの藤原恭大外野手、広島の小園海斗内野手、日本ハムの吉田輝星投手、西武の松本航投手、ソフトバンクの甲斐野央投手らが注目を集める中で、来季、一体どの選手が輝きを放つのか、楽しみだ。

 ただ、ルーキーたちがいきなり1年目から活躍するのは、なかなか至難の技。昨年のドラフトで指名された今季のルーキーたちも然り。清宮幸太郎内野手が大きな注目を集めた中で、大きく活躍したのはDeNAの東克樹投手ら、一握りの選手だけだった。

 ドラフトの成果は5年、10年経ってみないと分からないと言われるもの。では、5年前から10年前の各球団のドラフトが、今季どのように成果として発揮されたか、1年ずつ検証していってみよう。今回はちょうど10年前、2008年のドラフト【パ・リーグ編】だ。

【西武】
1中崎雄太投手(2016年戦力外)
2野上亮磨投手(→巨人)25試合4勝4敗1H 4.79
3浅村栄斗内野手 143試合565打数175安32本127点 .310(→楽天)
4坂田遼外野手(2018年戦力外)1軍出場なし
5岳野竜也捕手(2013年戦力外)
6宮田和希投手(2016年戦力外)

【オリックス】
1甲斐拓哉投手(2012年戦力外)
2伊原正樹投手(2014年戦力外)
3西勇輝投手 25試合10勝13敗 3.60(→阪神)
4高島毅内野手(2011年戦力外)
5西川雅人投手(2012年戦力外)

【日本ハム】
1大野奨太捕手(→中日) 63試合137打数27安2本10点 .197
2榊原諒投手(→オリックス、2015年戦力外)
3矢貫俊之投手(→巨人、2016年戦力外)
4土屋健二投手(→DeNA、2015年戦力外)
5中島卓也内野手 132試合391打数102安1本23点 .261
6杉谷拳士内野手 70試合104打数24安3本9点 .339
7谷元圭介投手(→中日) 8試合2勝0敗1H 14.90

【ロッテ】
1木村雄太投手(2016年戦力外)
2長野久義外野手(入団拒否)
3上野大樹投手(2015年戦力外)
4坪井俊樹投手(2011年戦力外)
5山本徹矢投手(2013年戦力外)
6香月良仁投手(2016年戦力外)
育1木本幸広投手(2012年戦力外)
育2鈴江彬投手(2012年戦力外)
育3角晃多内野手(2014年戦力外)
育4生山裕人内野手(2012年戦力外)
育5西野勇士投手 14試合0勝0敗 6.19
育6岡田幸文投手(2018年引退) 55試合14打数3安0本0点 .214
育7吉田真史内野手(2011年戦力外)
育8田中崇博投手(2009年戦力外)

楽天は辛島が現役、ソフトバンクは摂津も戦力外に…

【楽天】
×野本圭外野手
1藤原紘通投手(2013年戦力外)
2中川大志内野手(2017戦力外→DeNA) 47試合57打数13安打2本7点 .228
3井坂亮平投手(2014年戦力外)
4井上雄介投手(2013年戦力外)
5楠城祐介外野手(→ヤクルト、2013年戦力外)
6辛島航投手 23試合4勝9敗1S 4.05
育1森田丈武内野手(2011年戦力外)

【ソフトバンク】
×大田泰示内野手
1巽真悟投手(2016年戦力外)
2立岡宗一郎内野手(→巨人)42試合52打数12安0本5点 .231
3近田怜王投手(2012年戦力外)
4有馬翔投手(2013年戦力外→楽天育成 2014年戦力外)
5摂津正投手(2018年戦力外) 7試合2勝4敗 5.16
6金無英投手(2015年戦力外)
7鈴木駿也投手(2014年戦力外)
育1内田好治投手(2011年戦力外)
育2二保旭投手 35試合1勝0敗1S4H 5.34
育3柳川洋平投手(2012年戦力外)
育4猪本健太郎捕手(2016年戦力外)
育5堂上隼人捕手(2012年契約解除)

 ドラフト指名から10年も経過すると、大多数の選手が戦力外通告を受けるなど、プロ入り時と同じチームでプレーを続けていられるのは、1人か2人といったところ。それは、パ・リーグも同じで、10年間現役としてプレーを続けることが、いかに難しいかが、これを見るとよく分かる。

 この2008年のドラフト、パ・リーグ球団からは球界を代表する選手が輩出されている。西武は2位で野上、3位で浅村が加入し、浅村は今季打率.310、32本塁打127打点で10年ぶりのリーグVに貢献。ただ、オフにFAで楽天への移籍が決まった。昨オフには野上も巨人へFA移籍しており、チームに残る選手はいなくなった。

 オリックスは3位で西が入団。3年目の2011年に2桁10勝をマークすると、そこからはオリックスの先発ローテを守り、3年連続を含む5度の2桁勝利をあげている。ただ、この西も今オフにFA権を行使して阪神へ移籍。オリックスも2008年ドラフト組はチームから姿を消した。

 最も多く選手が“生き残っている”のは日本ハム。大野奨と谷元は中日へと移籍しているが、それでも5位の中島、6位の杉谷が健在。中島は遊撃手のレギュラーの座を掴み、杉谷も独特のキャラクターでチームのムードメーカー的な存在となっている。ロッテは異質で、支配下5選手(長野は入団拒否)は戦力外となっているが、育成指名の西野が健在だ。育成6巡目だった岡田は今季で現役を退いた。

 厳しいのは楽天か。10年間で1位の藤原が5年で戦力外となり、残るは6位の辛島ただ1人だ。2017年に戦力外となった2位の中川はDeNAに移り、今季は47試合に出場した。

 ソフトバンクは何と言っても摂津。ルーキーイヤーから2年連続70試合超に登板し大活躍すると、先発に転向した3年目の2011年から5年連続2桁勝利をマークし、2012年には最多勝と最高勝率、沢村賞を獲得した。ホークスで一時代を築いた球界屈指の好投手だったが、ここ3年は成績が振るわず、このオフに戦力外となった。残るは巨人に移った立岡と、育成で入団した二保の2人だけとなっている。(Full-Count編集部)

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