狂犬病、100%予防可能な殺人者 ヤンゴンの某病院の小児病棟では時々悲劇的な光景に出くわす。14歳の男子Mioは手足をべッドに縛られ、異常な喉の渇きに苦しんでいた。傍らの母親の手にはビーカーに入った水が握られていたが、もし水を飲ませると彼の脳がウイルスで混乱し、恐怖感から激しい痙攣を引き起こすのだという。

ヤンゴンの某病院の小児病棟では時々悲劇的な光景に出くわす。14歳の男子Mioは手足をべッドに縛られ、異常な喉の渇きに苦しんでいた。傍らの母親の手にはビーカーに入った水が握られていたが、もし水を飲ませると彼の脳がウイルスで混乱し、恐怖感から激しい痙攣を引き起こすのだという。

狂犬病、100%予防可能な殺人者

ヤンゴンの某病院の小児病棟では時々悲劇的な光景に出くわす。14歳の男子Mioは手足をべッドに縛られ、異常な喉の渇きに苦しんでいた。傍らの母親の手にはビーカーに入った水が握られていたが、もし水を飲ませると彼の脳がウイルスで混乱し、恐怖感から激しい痙攣を引き起こすのだという。
Mioは6週間前に自転車に乗っていて犬に足首を噛まれた。彼はその時は何も気にはしていなかったが、その後、彼の家族が異常に汗をかいているMioの異変に気付いた。そこで家族は彼を病院に連れて行った。しかし医者は狂犬病とは診断できなかった。もし、彼の家族が噛まれた直後に医者に連れていけば、症状は治まったかもしれない。しかしその時はすでに手遅れの状態でウイルスは彼の脳に到達していた。医者はもう治療の方法がない、余命数日と宣告した。
狂犬病は、哺乳類の唾液中に含まれる弾丸状の伝染性のウイルスである。ヒトへの伝染は、通常、ウイルスが咬傷によって皮膚から浸透し、神経細胞を通って脳へゆっくりと移動していくという。症状の悪化は通常、噛まれてから1〜3ヶ月後に始まるというが、その間隔は日々、年々変化している。
狂犬病に感染した患者の大半は発熱、倦怠感、水分補給時に起こる脳の混乱、喉の渇きそして急激に衰弱し死に至るという。また患者の約20%は「麻痺性狂犬病」という病状を発症する。これは徐々に全身が麻痺し、噛まれた部位からウイルスが身体全体に広がり、昏睡状態になり、最終的に死に至る。しかしこのような状態になった場合、現在、狂犬病の治療法は見つかっていないそうだ。
ミャンマーは世界で最悪の発症国になっており、毎年1000人が死亡している「危険性の高い」狂犬病の流行地域である。
特に15歳未満の子供や農村地域のコミュニティ(保健医療施設から遠い)などに犠牲者が多いという。ミャンマー公衆衛生省は、2014年以来狂犬病による死者数がマラリアより多くなったと推定している。しかし狂犬病は予防できる。ワクチン接種は病気の予防に100%効果的だ。狂犬病予防接種を受けていないほとんどの患者は致命的になるが、ワクチン接種を受けた者からの死亡報告はないという。
しかし、救急処置も忘れてはいけない。もし噛まれたら、直ちに水や石鹸、洗剤を多量に入れて15分以上洗って完全に洗い流す。これは非常に重要であり、命を救うことができる。そのうえで傷口にヨウ素含有消毒溶液を塗布する。そしてもちろんすぐに病院に行く。
狂犬病流行地域では何も犬だけでなく猿、猫、コウモリや他の哺乳類にも注意が必要だという。ちなみに狂犬病を排除するための重要な施策は、ミャンマーで来年に予定されている狂犬病による死を減らす最も効果の高い方法に期待が集まる。大量の犬ワクチン接種キャンペーンである。スリランカとタイでは、この接種キャンペーンで最近数十年の間にヒトの症例を大幅に減少させたという報告が出ているそうだ。

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