南島原の魅力をメディアで発信 移住、企業誘致へ

 長崎県南島原市は、各種メディアを使い、地域の魅力を戦略・効果的に宣伝する「シティプロモーション事業」に力を注いでいる。市の知名度を上げ、交流人口増加や観光客と企業の誘致につなげる狙いだ。全国的に同事業に取り組む自治体は多いだけに、市は「頭一つ抜けたい」とあの手この手で積極的に展開している。

 ▼あの手この手

 端緒は、南島原市が会員制交流サイト(SNS)のフェイスブック(FB)に設けた写真コンテスト「撮ってくれんね!南島原コンテスト」。2013年には登録者数が9万人を超え、自治体運営FBとして日本一になり、注目を集めた。

 14~15年度は、地元の山や海の幸などを紹介するテレビの帯番組を長崎県内で放送。各年度6千万円前後の予算を投じ、長崎国際テレビに制作を委託した。16年度は山あいの廃校舎を活用し、そうめん創作料理などを提供する「南島原食堂」を整備。運営を委託されたテレビ長崎が積極的にPRした。軌道に乗った現在は地元住民が運営を引き継いでいる。

 ソラシドエア(宮崎市)の「おいしい南島原号」は今年10月まで1年余り運航した。南島原のご当地キャラクター、ベイガ船長を機体や客室乗務員のエプロンにあしらった。機内誌ではグルメや観光を特集。東京や九州などを結ぶ10路線で計2126便が飛び、各地で市の魅力をアピールした。

 ▼再生90万回に

 現在、力を入れているのが短編映画仕立てのショートフィルム。1作目の「夢」(約8分)を昨年11月にインターネットで公開すると、南島原市内の美しい映像と切ないラブストーリーが好評で、動画投稿サイトのユーチューブなどの再生回数は約90万回に及んだ。「南島原に行ってみたい」などと反響が広がった。

 ショートフィルムは第2弾を制作することになり、監督を務める長崎市の映像ディレクター、野上鉄晃(てっこう)さん(36)や市職員らが11月から市内でロケ地を探している。市民エキストラを募り、来年1月から撮影を始め、3月に完成する予定。制作は約750万円で長崎国際テレビに委託した。

 第2弾は「少年の心の再生」をテーマにした30~40分の動画となる予定。野上監督は「島原半島の人が持つ愛をテーマに、全世界へ発信する気概でやりたい」と意気込む。

 南島原市の担当者は「市の知名度を上げれば、移住・定住者や観光客を増やし、企業の誘致にもつながる。横断的な相乗効果を生む突破口にしたい」と期待している。

南島原市が制作したショートフィルム「夢」の一場面
ロケ地探しで南島原市立大野木場小を訪れた野上さん(右から2人目)ら関係者=11月29日、同市深江町(市提供)

© 株式会社長崎新聞社