被爆体験者救済で長崎市 「政治的解決目指したい」

 県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を求めたものの、10日の福岡高裁判決で全面敗訴した「被爆体験者」第2陣訴訟の原告や支援者は27日、同市に対し救済に向けた具体的な行動を要望した。応対した中川正仁・市原爆被爆対策部長は「何とか政治的な解決を目指したい。国会議員にも強く働き掛けたい」と述べた。

 訴訟は、爆心地から12キロ以内で長崎原爆に遭いながら被爆者と認められていない被爆体験者161人が原告。長崎地裁はうち10人を被爆者と認めたが、県と市は国の方針に沿って控訴。福岡高裁は「科学的知見」を巡る課題を理由に10人を含む全員の訴えを退けた。

 第二次全国被爆体験者協議会(岩永千代子代表)、多・長被爆体験者協議会(山内武会長)、被爆体験者訴訟を支援する会(川野浩一代表)のメンバーら20人が市役所を訪問。第2陣訴訟で市が福岡高裁に控訴したことを批判し、救済に向け「(田上富久)市長は決断の時だ」「政治的な解決のため具体的な行動を示してほしい」などと訴えた。一行は県にも同様に要望した。

長崎市に対し、被爆体験者の救済を訴える岩永代表(左)ら=同市役所

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