思い出に残る2018年の山行は? YAMA HACK編集部の『ゆく年くる年』 「大晦日のテレビ番組といえば?」と聞いてみると、名前が上がることも多い『ゆく年くる年』。穏やかなお寺の風景、静けさの中で鳴り響く除夜の鐘。しっとりと迎える新年も良いものです。そんなお正月番組とは何の関係もありませんが、今回はYAMA HACK編集部の『ゆく年くる年』をお届け。2018年の思い出深い山行と2019年の目標をご紹介します。みなさんの思い出の山も登場しているでしょうか?

2018年もいよいよ終わり。年越しの瞬間を山で迎える方もいるのではないでしょうか。こたつでぬくぬく、年越しそばを食べ、テレビを見ながら家でのんびりと過ごすのもまた良いものです。

年越し番組といえば、思い浮かべる人も多い「ゆく年くる年」。今日は『ゆく年くる年』をテーマに、普段はなかなかお見せすることのできないYAMA HACK編集部員の山行を大公開! 2018年で一番記憶に残っている登山の思い出と、2019年の目標をご紹介します。

もしかしたら、山であなたとすれ違っているかも!?

2018年は北アルプスデビュー、2019年はVS高所恐怖症<編集部員S>

今年は生活拠点を関東に移した最初の年。そして、北アルプスデビューの年でした。

(燕岳)

5月の残雪期に燕岳へ。2011年頃から登山を始め、これまでに関西や中国地方を中心に50座ほどの山に登りましたが、北アルプスは噂に違わぬ絶景。

「山によって全然景色が違うんだな」と、当たり前のことをおもしろく感じた山行でした。

(富士山)

それからは奥多摩・秩父・箱根・高尾・丹沢などのエリアを訪れて、それぞれの山を満喫。「関東どの山でも富士山見れるやん!」というのが一番の感想ですね(笑)。

(燕岳から望む槍ヶ岳)

漫画『岳』に憧れがあるので、槍ヶ岳に登ることが来年の目標。

体力的には問題ないと思うんですが、かなりの高所恐怖症なので最後のはしごが・・・。燕岳の山頂も風があり、かなりビビってしまったんですよね(笑)。 なので、いろいろ高所恐怖症克服トレーニングをして挑みたいと思います! それから、鳥取の大山にも登りたいですね。7年くらい連続で登っていたのに、今年は引越しをしたので行けていないんです。

編集部員S

【2019年の目標】
高所恐怖症センサーが許す限り、アルプスだけでなく九州や東北など、まだ行ったことのないエリアの山を歩きます!

嵐のあとに見た、美しい尾根の景色に涙…<編集部員K>

お盆休みに扇沢~爺ヶ岳~鹿島槍~五竜岳~唐松岳のソロ縦走を計画しました。しかし当日はあいにくの天気…。

(八峰キレット)

道中で出会ったたくさんの方とのお喋りでなんとか気を紛らわしましたが、2日目の八峰キレット~五竜岳は特に最悪の天候!

(無理やりテンションを上げる編集部員K)

雨風にさらされ続け、雷もバンバン鳴り、すれ違った方が「さっき鎖伝って感電した人がいて…」なんて言うからもう大変。ひたすら低姿勢でなんとか五竜山荘に到着。相部屋の方と「よくぞこんな天気の中無事で!」と喜び合うほど、それはもう悲惨な天候でした。

稜線の景色を楽しみたくて計画したのに、今回は残念だったなぁ…と3日目にとぼとぼ下山。

(八方尾根)

すると八方尾根を下っているとき、突然雲が晴れていきました。最後の最後に「しょうがないな~」とでも言うように、素晴らしい景色を見せてくれたのです。ここ3日間、何も見えなかった私は「めっちゃきれぇ~」と1人で号泣。。人間の情緒がこんな簡単に揺さぶられるから、山は面白いなと思います。

編集部員K

【2019年の目標】
長距離を歩きたいので、来年は栂海新道チャレンジを目標にします!

ずっと槍を見ながら歩ける道が最高!<編集部O>

悪天候が続いていた今年のお盆休み。毎日のように天気予報とにらめっこし、晴れの日を狙って双六岳へ。夜行バスで新穂高温泉につくなり、やらかしてしまいました。登山靴をバスの中に忘れるという凡ミス…。

(鏡平山荘のかき氷)

このまま登らずに帰るのか…と途方に暮れていたところ、なんとか運転手さんと連絡がつき登山靴をゲット! 登る前からどっと疲れた心を、鏡平山荘のかき氷と道中の絶景が癒してくれました。

(双六岳)

ずっとこの目で見たいと思っていた景色を、また1つ拝むことができて感無量。かっこいい槍ヶ岳を間近に眺めながら歩くことができる双六岳への道のりはたまりません。

本当は鷲羽岳・水晶岳か、黒部五郎岳の方まで足を伸ばしたかったのですが、翌日は悪天候が予想されていたので断念。また来年、登りたいと思います!

編集部員O

【2019年の目標】
海外のロングトレイルを歩いてみたいです!長期の休みがとれたら…(笑)。

山の“楽しさ”と“厳しさ”を体感<編集部員J>

2018年。登山初心者としてYAMA HACKに入社した私は、山の楽しさに触れるとともに、“厳しさ”も体験できた一年でした。

(登山デビュー戦は強風の那須岳、元山岳ガイド指導のもと即下山となりました。)

始めての登山は、まだ雪の残る4月の那須岳。当日はあいにくの暴風に見舞われ、なかなかハードなデビュー戦に。景色を楽しむ余裕はありませんでしたが、風の怖さを知り、登山ウェアの性能の高さを身をもって感じることができた貴重な体験でもありました。

今では月1回を目標に、関東周辺の初心者向けの山を中心に登山を楽しんでいます。デビュー戦があんなにツラかったのに、なぜ続けられたのか…?

それは、ツライ瞬間も楽しい瞬間も含め、全てが色濃く自分の中に残っていたから。景色、コース、友人との会話、全て覚えています。「こんな経験は登山でしかできない!」という、クセになる感覚を覚えてしまったんです(笑)。

(スペースキー登山部)

秋にはデビュー戦で登った那須岳にリベンジ。前回と同じく山頂は真っ白。またか…と思っていた瞬間、美しい紅葉が!

(紅葉の那須岳)

圧巻の景色に出会い、今年一年の登山を素敵な思い出で締めくくることができました。

まだまだ登山初心者です。だからこそ伝えられる事もたくさんあるはず! 私と同じ“登山初心者”の方々が安心して山に行けるように、「登山の楽しさ」「山の厳しさ」を初心者代表としてお届けしていきたいと思います。

編集部員J

【2019年の目標】
山に泊まって朝日を見ることです!

痺れる登山は面白い<編集部N>

今年の山行で最も印象に残っているのは、5月下旬に訪れた岐阜県側の北アルプス・錫杖岳。

(錫杖岳)

山岳地帯での岩壁を登ってピークを目指す「アルパインクライミング」をしてきました。

(錫杖岳の前衛壁)

遠目からでもはっきりと確認できる、切り立った山容。立ちはだかる岩壁を目の前に、どのように攻略してやろうかと考えを巡らせます。

(錫杖岳 前衛壁『注文の多い料理店』)

2日目にトライした『注文の多い料理店』というルートでは、スタート地点に取りつくことにも難儀し、「簡単には登らせてくれない」そう感じました。

登り始めてからもルートファインディングに苦戦し、高所でのクライミングというリスクに焦りを覚えます。しかし、恐怖を感じながらも、岩登りを純粋に楽しんでいる自分がいました。「安全」と同じぐらい大事な「楽しむこと」を再確認しましたね。久しぶりに“痺れた”登山でした。

編集部員N

【2019年の目標】
来年も時々山に行って自然を感じたいですね。そのために、日々のトレーニングに励むことが目下の課題です!(笑)。

初めての単独登山でステップアップ!<編集部員F>

休みの予定が誰とも合わず、初めて単独行に挑戦。東京から夜行バスで扇沢に向かい、柏原新道を通り1泊2日で鹿島槍ヶ岳に行くことにしました。

(鹿島槍ヶ岳)

稜線に出るまではまずまずの天気でしたが、次第に天候が悪化。強まる風雨と雷鳴の中、心細く泣きそうになりながら歩き続けました。宿泊予定の冷池山荘が見えた瞬間、「生きていてよかった!」と思ったほど。

2日目の朝もあまり好天ではなかったのですが、たまに雲の隙間からふと見える立山の美しい山並に励まされ、無事に鹿島槍ヶ岳(南峰)を踏むことができました。

(爺ヶ岳付近から振り返った冷池山荘とテント場)

プランニングから休憩のペース、進退判断などすべてを一人で決めなければならず、出発前は楽しみより不安のほうが大きかった始めてのソロ登山。山の楽しさと美しさ、怖さをすべて味わえた思い出深い山行となりました。

編集部員F

【2019年の目標】
来年は3泊以上のロングトレイルやテント泊に挑戦したり、ごはんのおいしい山小屋にもたくさん行ってみたいと思っています。

日本一好きな山で迎えた、人生の節目<編集部員H>

今年、私にはどうしてもやりたいことがありました。それは北岳で誕生日を迎えること。北岳は初めて登った日本アルプス・3,000m級の山で思い入れがあり、「一番好きな山で大切な日を迎えよう!」と以前から決めていました。

(北岳から見る甲斐駒ヶ岳)

アタック当日の朝はお天気も良く、風も穏やかでしたが、山頂に近づくにつれ濃くなっていくガス…。「山頂に行けるだけでもありがたい」と自分に言い聞かせながら登り続けました(笑)。

(北岳山頂から望む間ノ岳方面)

ところが登頂してしばらくすると、どんどんガスがなくなり視界が開け、甲斐駒・仙丈をはじめ、八ヶ岳や塩見まで望めるほどに! 当日の天気予報は雪だったので、予想外の景色に感動したのを覚えています。高価な物をもらうよりも、何倍も嬉しい誕生日プレゼントになりました。

この日は間違いなく、今年の中で一番幸せな日でした。今年は一度しか北岳に行けなかったので、来年はたくさん登ろうと思います!

編集部員H

【2019年の目標】
南アルプス南部を縦走したいです! また、来年はいろいろな講習会に参加し、登山に関する知識をさらに蓄えて一登山者として成長していきたいです。

14年ぶりのリベンジを果たしたマイナー過ぎる名峰「アサヨ峰」<編集部員Y>

初めての日本アルプスは、大学1年の時に経験した南アルプス縦走でした。

(大学1年時、甲斐駒ヶ岳への道中からの景色)

日本最高所の峠・三伏峠から塩見岳、白峰三山、甲斐駒・仙丈ヶ岳を通過し、あとは鳳凰三山を登るだけ。そんな9日目の行程は、北沢長衛小屋(現・長衛小屋)から栗沢山とアサヨ峰を登るというもの。ボロボロの身体で、あと3日、もう少し…そう思っていた矢先にメンバーが体力的な限界を迎えギブアップ。

栗沢山付近で18歳の夏が終わりました。

(2018年、アサヨ峰)

そこから14年の月日を経て、今年ついにアサヨ峰にリベンジ登頂。アサヨ峰の魅力は、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳、鳳凰三山と南ア北部のエース級の山を一度に見渡せる360度の大展望。甲斐駒や千丈に比べて極端に登山者が少ないため、絶景を独り占めすることができました。

(長衛荘にて。大学当時はサコッシュなんてなかったので、ウエストポーチです(笑)。)

下山後、懐かしくなって昔の写真と見比べてみたら、長衛荘が立派に改築されていることに気づきました。山小屋は新しくなるけれど、自然は変わってないなと、しみじみと感じた登山でした。

編集部員Y

【219年の目標】
・朝日岳~親不知を歩きとおし、日本海にダイブ
・湯俣温泉から三俣山荘へ続く幻の「伊藤新道」を歩く
どちらかを実現したいです。

2019年もYAMA HACKをどうぞよろしくお願いいたします

YAMA HACK編集部のメンバーもそうですが、登山の楽しみ方は千差万別。YAMA HACKでは、昔ながらの「登山」のイメージにとらわれず、新旧あらゆる楽しみ方を肯定し、これからも伝えていきたいと考えています。

2019年もYAMA HACKをどうぞよろしくお願いいたします。それでは、良いお年をお迎えください!

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