台風24号の損害保険額 「西日本豪雨」上回る

 首都圏各地に暴風被害をもたらした台風24号で、被災した住宅や車などに対する損害保険の支払額が2378億円に上ることが、日本損害保険協会の集計で分かった。死者・行方不明者が230人を超え「平成最悪」となった7月の西日本豪雨の保険金(1902億円)を上回り、飛散物による損壊が多発した24号の爪痕の深さを示している。県内の支払額は321億円で、静岡、東京に次いで多かった。

 同協会がまとめたのは、外国損害保険協会の会員企業を含む39社が支払った火災や車両、傷害などの保険金(今月11日現在、支払い予定を含む)。

 24号の支払額は、関西空港が浸水した9月の台風21号(7478億円)より少なかったものの、国内でこれまでに起きた風水害で6番目に多かった。今後の相談や調査次第で、さらに膨らむ可能性があるという。

 また、これらの風水害に6月の大阪府北部地震(1033億円)や9月の北海道地震(338億円)の地震保険を含めた今年の主な災害の保険金は、東日本大震災(1兆3203億円)の地震保険に匹敵する規模となった。

 24号の都道府県別では、大規模停電が起きた静岡の367億円が最多。東京(338億円)、神奈川(321億円)、埼玉(175億円)、千葉(173億円)と続き、首都圏に集中したが、愛知や宮崎、鹿児島などでも支払いが目立ち、被害は広範囲に及んでいた。

 神奈川で支払われた保険金の内訳は、火災保険307億円(4万6299件)、車両保険11億円(2778台)、傷害などの新種保険が3億円(598件)だった。吹き飛ばされた屋根が近隣の住宅や車に落下する二次被害もあった横浜市内の住宅地では「住宅や車の修理に保険が使われたが、作業がまだ終わっていない家もある。家主の精神的な打撃も大きい」(自治会関係者)という。

 24号は9月30日から10月1日にかけて県内に接近。横浜地方気象台によると、最大瞬間風速は横浜市中区で38・5メートル、藤沢市辻堂では36・8メートルを観測した。

 今月5日現在の県集計では、住宅の半壊は23棟を数え、846棟が一部損壊と判定された。公共施設など住宅以外の150棟にも被害があり、14人が重軽傷。首都圏のJRでは初の計画運休が行われた。

台風24号では、暴風で飛ばされた屋根による周辺車両などへの二次被害が相次いだ=10月、横浜市内

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