高校生川柳2018

 ギラギラと暑かった今年の夏を思い出した。〈ほぼ忍者/日陰に沿って歩く女子〉。日焼け対策を入念に施し、それでも用心に用心を重ねてそろそろ歩く姿をコミカルな一句に。一方、こちらはそんな暑さも吹き飛ぶ冷たく重い時間。〈猛暑日の三者面談こおりつく〉▲社会と人間を詠う17音の短詩、と選者の言葉にある。先日発表された全国高校生川柳コンクール(福岡大主催)の入選作から▲〈晴れ舞台/背中で伝わるその思い〉は本県の聖和女子学院高1年、朝長澄香さんの作。緊張感や自信や不安や期待をさまざまにのせて友達が向かう先は、ステージだろうか、コートだろうか。特別賞の「福大生が選ぶ賞」に輝いた▲家族への素直な思いがいい。骨折した祖母のリハビリに付き添いながら〈散歩道/祖母を何度もふりかえる〉。手の込んだお弁当をいつもありがとうね、と苦笑い交じりの感謝を込めて〈母弁当/インスタ映える僕遅刻〉▲恋心。今日こそ言おう。〈届かない/僕の気持ちは未送信〉。あ、やっぱりやめた。〈告白も送信取り消しする時代〉。告白を迷う気持ちはいつの時代も同じようだが、表現やツールはやっぱり当世流▲元号が改まる。〈平成が終われば私も古い人〉…いやいや。新しい時代の最初の主役はきっと君たちの世代にも。(智)

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