10年ぶりV、下克上、激動オフ、大誤審… 2018年、パ・リーグ10大ニュース

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

西武は強力打線でパ・リーグ制覇、ソフトバンクは下克上から日本一

 2018年も残り、あとわずか。今季のプロ野球界も様々な出来事が起こり、ファンを楽しませ、盛り上げ、そして時に悲しませてくれた。パ・リーグは開幕から西武が首位を独走。そのまま一度も首位の座を明け渡すことなく、ゴールテープを切り、10年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた。

 だが、リーグ2位だったソフトバンクが、クライマックスシリーズで西武を撃破し“下克上”を達成。さらに日本シリーズでも広島を破って2年連続の日本一に輝いた。そんなパ・リーグで起きた出来事の中で、Full-Count編集部が独自に10大ニュースを選出。それぞれのニュースを振り返り、2018年を思い出していこう。

○西武が10年ぶりV

“山賊打線”、“獅子おどし打線”と呼ばれた超強力打線を全面に押し出し、見事にリーグ制覇。3番の浅村が打点王、4番の山川が本塁打王に輝くなど、切れ目のない打線でパ・リーグを席巻した。チーム防御率4.24はリーグワースト、12球団でも11位に位置する低さだったが、まさに打ち勝って、10年ぶりに頂点に立った。

○ソフトバンクが“下克上”で日本一

 昨年度王者のソフトバンクだが、今季は開幕から苦しんだ。開幕直後に守護神のサファテ、セットアッパーの岩嵜が故障で離脱。その後も東浜、千賀、内川、今宮など故障者が続発し、一時はBクラスに沈んだことも。だが、夏場から徐々に盛り返して2位に入ると、クライマックスシリーズで西武を撃破。勢いに乗ってそのまま日本シリーズも制して2年連続で日本一となった。

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】

ホークスは功労者が構想外に、レジェンドが次々と引退

○“甲斐キャノン”が大ブレーク

 その日本シリーズで、一躍、脚光を浴びることになったのが、ソフトバンクの甲斐拓也捕手。機動力を武器とする広島の盗塁をことごとく阻止し、日本シリーズ新記録となる6連続盗塁阻止を記録。甲斐のスローイングを表す“甲斐キャノン”の愛称は瞬く間に広がり、バッティングではわずか2安打に終わったにも関わらず、シリーズMVPに輝いた。

○内川聖一と福浦和也が2000本安打達成

 内川は5月9日の西武戦(メットライフD)で、8回に中前安打を放ち、史上51人目となる2000本安打を達成。王手をかけてから14打席連続無安打と苦しんだ末の到達となった。福浦は9月22日の西武戦(ZOZOマリン)で、8回に右翼線への二塁打を放ち史上52人目となる偉業を達成した。

○西武&オリ激動のオフ、ソフトバンクは功労者放出

 10年ぶりにリーグ制覇を果たした西武だが、激動のオフに。FA権を行使して炭谷が巨人に、浅村は楽天へ移籍。さらに菊池がポスティングシステム(入札制度)を利用しメジャー挑戦を目指すなど、主力3人が流出することに。炭谷の人的補償で、巨人の生え抜き内海を獲得したことでも大きな反響を呼んだ。オリックスは中島宏之、金子弌大が減額制限を超えるダウン提示を受けて自由契約となり、それぞれ巨人、日本ハムに移籍。西勇輝はFAで阪神移籍とこちらも主力3人がチームを去った。ソフトバンクは日本一となった翌日に摂津正や五十嵐亮太らに構想外を通告。ベテラン勢が放出となり、衝撃が走った。

○レジェンド引退

 西武の松井稼頭央外野手が現役を引退し、西武の2軍監督に就任。日本ハムの矢野謙次外野手やオリックスの小谷野栄一内野手といった“松坂世代”やロッテの大隣憲司投手、岡田幸文外野手、ソフトバンクの城所龍磨外野手らも今季限りでユニホームを脱ぐことになった。

日本ハム・清宮幸太郎【写真:荒川祐史】

ハムは清宮が1軍で7発&新球場構想発表、オリVS鷹では世紀の誤審が…

○梨田監督辞任、平石監督が就任

 昨季の3位からリーグ優勝を狙った楽天だったが、開幕から低迷。交流戦中の6月半ばには借金が「20」に達し、梨田昌孝監督が辞任した。監督代行を平石洋介ヘッドコーチが務め“松坂世代”で初めてNPBの指揮官に。来季からは正式に監督に就任し、引退した小谷野栄一や後藤武敏といった同世代がコーチスタッフに名を連ねることになった。

○清宮幸太郎が1軍で7発

 日本ハムのドラフト1位で入団した清宮幸太郎内野手がデビュー前から大きな注目を集めた。オープン戦中の3月に限局性腹膜炎で入院するなど出遅れて開幕1軍入りを逃したが、5月2日の楽天戦で1軍デビュー。同9日のオリックス戦でプロ初本塁打を放つなど、歴代単独トップとなるデビューから7試合連続で安打を放った。イースタン・リーグでも45試合で17本塁打を放ち、大器の片鱗を十二分に見せつけた形。1軍では53試合に出場して打率.200、7本塁打18打点だった。

○世紀の大誤審

 6月22日、ほっともっとフィールド神戸で行われたオリックス対ソフトバンク戦。同点で迎えた延長10回に、ソフトバンク中村晃が右翼ポール際に大きな飛球を放った。一塁塁審の判定はファウルだったが、工藤公康監督のリクエストによりリプレー検証が行われ、判定が覆って2ランになった。これが決勝点となり試合はソフトバンクが勝利したが、判定を不服とした福良監督らが試合後も抗議。改めて映像を確認したところ、審判団がファウルであったと誤審を認める事態となった。その後もオリックスが試合のやり直しを求めるなど、波紋を呼ぶ事態となった。

○日本ハムが新球場建設へ

 日本ハムは北海道北広島市に新球場「北海道ボールパーク(仮称)」を建設すると発表。日本初の開閉式天然芝ドーム球場となり、2023年の開業を目指す。公園やキャンプ場などを敷地内に整備し、スタンド上部には天然温泉の露天風呂などを設置する計画となっている。(Full-Count編集部)

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