【平成の長崎】35年ぶり 軍艦島上陸解禁 平成21(2009)年

 かつて炭鉱の島として栄えた長崎市高島町の端島(通称・軍艦島)の上陸が2009年4月22日、35年ぶりに解禁され、元島民や観光客ら約70人が島内を見学。日本の近代化を支えた島の当時の思い出を振り返ったり、島民の暮らしに思いをはせた。
 参加者は民間の船会社の船で到着。上陸観光のために市が整備した見学用通路や見学広場を巡り、「端島炭坑」の施設跡や、日本最初の高層鉄筋アパートの「三十号棟」などを見学した。
 出航に先立ち、同市元船町の大波止第二桟橋ではセレモニーがあり、智多正信副市長が最初の乗船者となった東京都目黒区の森山茂博さん(59)、洋子さん(58)夫妻に花束と記念品を贈呈した。
 端島は、長崎港から南西19キロの海上に位置し、周囲約1.2キロの島。明治以来、炭鉱で栄え、最盛期には約5300人の島民が暮らしたが、1974年閉山。無人島となった。昨年9月、「端島炭坑」を含む「九州・山口近代化産業遺産群」の世界遺産暫定リスト入りが決定。
 長崎市は端島を新たな観光スポットして売り込む考えで、年間約2万人の観光客を見込んでいる。
(平成21年4月23日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

35年ぶりに上陸解禁となり、見学通路を巡る観光客ら=長崎市、端島

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