大師周辺の情報を英語で 初の観光マップが誕生

 川崎大師(川崎市川崎区)周辺の飲食店や年間の行事などを紹介する英語観光マップを同区在住の女性が発行した。同エリアにはこれまで外国人向けの観光ガイドがなかったといい、女性は「大師周辺には魅力的な場所が数多くある。多くの外国人に訪れてほしい」と話している。

 英語観光マップを発行したのは、インドネシアで邦字新聞編集記者として勤務後、川崎区で合同会社「訪日インバウンド対応総合研究所」を起業した堀田実希(みきほ)さん(32)。代表社員の肩書だが、社員は堀田さん一人で、今回のマップも取材から編集まで堀田さんがすべて手掛けた。

 「川崎大師は有名らしいが、時間をかけて行くところじゃなかった」。外国人観光客のつぶやきを耳にしたのがマップ作成のきっかけとなった。

 川崎大師近くにある保育園に娘を通わせる中で、魅力的な観光資源を数多く発見していた。それなのに地域では外国人観光客にあまり関心を向けず、情報も発信していなかった。

 「羽田と川崎区を結ぶ連絡橋ができるから、外国人が来るわけではない。情報発信は大事。例えば出国前に立ち寄ってもらい、せんべい焼きやあめ切り、着物体験などができれば外国人は喜ぶはず」と堀田さん。編集記者の経験を生かして外国人向けの英語観光マップ作成を思い立った。

 マップには、川崎大師周辺のすしやそば、天ぷら、和菓子、あめ、くず餅店など24の飲食店を掲載している。堀田さんが掲載希望店を訪問。ベジタリアンやイスラム教徒など食に制約のある外国人が食べられるメニューを調べ、「ポーク(豚肉)フリー」といった表記を店ごとに載せた。

 また、川崎大師で7月に行われる風鈴市や、近くにある金山神社で4月に開催される「かなまら祭」など川崎大師や周辺地区の年間行事も細かく紹介している。

 このほか、京急線川崎大師駅から川崎大師表参道、仲見世通り、川崎大師平間寺まで段差がほとんどなく、平間寺や一部商店に車いす用トイレがあることをアピール。「ほぼすべての店が車いすでアクセスできる」と記し、2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、表紙には「羽田から22分、車いすのままで観光しやすい街」をうたった。

 マップはA3判観音折り。1万部を刷り、川崎大師や羽田空港の観光案内所、川崎区内の宿泊施設などで配布している。3月には2万部を追加印刷する予定だ。

 堀田さんは、せんべい焼きなど川崎大師エリアでの外国人向け文化体験のガイドツアーも企画、運営している。「京都などにはない下町感がこのエリアの魅力。ぜひ多くの外国人に足を運んでもらいたい」とマップ効果に期待を寄せている。

取材、編集すべて一人で手掛けた川崎大師の英語観光マップを手にする堀田実希さん=川崎市役所

© 株式会社神奈川新聞社